プロフィール

2014年3月17日月曜日

江戸時代

 以下は昨日の致知出版社様から頂いたメルマガの一部であります。

読んでいて驚きというか、新鮮というか、なんともいえない気持ちになりました。


「温故知新」

「不易流行」


今こそ、昔の日本国の、日本人の良いところをしっかりと見直し、歴史認識し、

また、この急激に変化している世の中、世界情勢に合わせた日本独自の文化というか、思想というか、学問を築き上げていく時代、時期に差し掛かっているのではないのでしょうか。


是非とも御一読の程を宜しくお願い致します。



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日本の古典を読み返してみると、
『古事記』以来、日本人は
 汚い心をとても嫌っていたことが分かる。

 そういうものを洗い流し、清き心、直き心を
 重んじてきたのが日本人なのである。


    月刊『致知』2014年4月号随想
    渡辺京二(思想史家、評論家)



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   「清き心、直き心を取り戻す」 渡辺京二

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 江戸時代の日本はかつて、暗黒の時代と認識されていた。


 こうした"常識"に私が疑問を抱くようになったのは、
 当時の日本を訪れた外国人たちの訪日記に触れてからであった。


 イギリスの紀行作家・イザベラ・バード、
 初代駐日総領事のラザフォード・オールコック、
 日米修好通商条約を締結したタウンゼント・ハリスらに
 代表される訪日記には、彼等欧米人の常識とは
 大きく異なる習俗や価値観のもと、
 生き生きと生活する日本の庶民の姿が詳述してあり興味が尽きない。


 当初、とりわけ新鮮に私が感じたのは、
 搾取の対象であったはずの農民が、
 実は豊かに楽しく暮らしていたという記述である。


 子供は栄養が行きわたり、満月のように肥えていた。


 日本くらい下層民が豊かで幸福な生活を送っている
 国はないとハリスも記している。


 こうした事実は日本人にも認識されてはいたが、
 農民の生活は悲惨だったとする戦後左翼史の主張と矛盾するため、
 長らく黙殺されてきたのである。


 また、日本語に翻訳された訪日記も僅かながら存在したが、
 重要な部分が欠落していた。


 興味を抱いた私は、可能な限りの文献を集め
 徹底的に読み込んでいった。


 およそ十年にわたる研究成果は、
 大学からの依頼で引き受けた日本文化論の講義に生かされ、
 そして自著『逝きし世の面影』に結実した。


 日本の庶民の自由な暮らしぶりは、
 階級社会のくびきに囚われていた欧米人の目には
 さぞかし新鮮に映ったことだろう。


 バーネットの『小公子』などを読むと、
 当時欧米の召使いは主人の前で笑うことすら
 許されなかったことが分かるが、日本の町人は武士に
「悔しかったら刀を抜いてみろ」と侮辱したり、
「二本差しが怖くて目刺しが食えるか」と粋がったり、
 いささかも卑屈なところがない。


 日本の裁判が非常に平等で、
 むやみに人に危害を加えれば、武士や役人といえども
 厳罰に処せられたという背景もある。


 農民については、武士との接点は年貢を納める時くらいで、
 交流が稀であったことも伸び伸び生活できた一因である。


 台風は大きな木には当たるけれども、
 地面に生える草には被害をもたらさないと比喩されているが、
 上層部の抱える諸問題に心患わされることなく、
 自由に楽しく暮らしていたのである。


 一足先に工業化社会に入り、社会の性急なリズムに合わせ
 汲々と働いていた欧米人から見れば、
 日本の庶民にはまだ時間がゆっくりと流れており、
 皆実に幸せそうに映ったようだ。


 明治政府顧問を務めたフランスの軍人ブスケは、
 こうした日本では近代産業は根づかないとも記している。
 労働者はすぐに休んでは煙草をふかし、お茶を飲む。
 祭りでも始まれば出てこなくなるからだという。


 大森貝塚の発見で有名なアメリカのモースは、
 土木作業員たちの地搗き唄に関心を示した。


 建設地の地固めをする時など、丸太で地面を
 一突きする度に皆でひとしきり唄を唄う。


 唄など禁じれば作業も早く進むだろうが、
 それでは反乱が起こり、働き手がいなくなるので
 管理者も黙認している。


 モースは、労働を労苦とせず明るく働く日本には、
 貧乏人はいても、西洋的な概念における
 貧困という現象はないことに気づかされたのだ。


 また、横浜で英字紙を発行したブラックによれば、
 日本人の旅は実にのんびりしたものだったようだ。


 道中、無数にある茶屋でしょっちゅう休む。
 隣り合わせになった人とおしゃべりをして、またしばらく歩く。
 歩いていればいつか目的地に着くという感覚で、
 旅そのものを楽しんでいたのである。


 庶民がこのように明るく生き生きと生きられる社会を
 創り上げた日本はつくづく素晴らしいと思う。


 ただ、それをもって江戸時代こそが世界に類を見ない
 理想社会と考えるのは少々極端である。



※われわれがいま、江戸期の日本人から学ぶべきこととは何か?
 日本人の美質を取り戻すために必要なことは何か?
***


以上であります。


押忍 石黒康之

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