プロフィール

2016年9月16日金曜日

義の道

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【問】

詫びている相手から「礼金」を受け取り、
うまい汁を吸う人間は、
商人ばかりだろうか。
商人以外にも、その手の者はいるものだ。


【答】

商人の多くは道を知らないから、
そんなことをしてしまう。
商人としての正しい道を知って
事に対処する者は、義に反する
そのような行為はしないものだ。

御領(幕府の直轄領)や
家領(堂上諸家の領地)を管理する
庄屋(名主・肝煎りと呼ぶこともある
村役人)とか、村年寄(庄屋の補佐役で、
村の指導者)であっても、
お殿様の正しい政道を見習って、
その代理として仕事を
行っているのだから、百姓から
礼金などを受け取るようなことが
あってはならない。

そもそも士と呼ばれる身分の者が、
下々の者たちからこっそりと
礼金などを受け取ることがあれば、
その者に対して何かと贔屓するように
なるに違いない。

下々の者と同様に、何かにつけて
そのような取り持ち行為を行う武士は、
士と呼ぶべきではない。

そのようなことをするのは盗っ人であって、
士ではない。

上に立つ者が下に従う者から
賄賂などをもらっては、
政道が成り立たない。

たとえしばらくの間はばれなくても、
「天知る、地知る、我知る、人知る」
(天地の神々も、自分も、
あなたも知っているのだから、
 必ず露見する)のだから、
いつかは表沙汰になって
天罰を受けるだろう。

天罰を知らない者が、
この天下泰平の世にいてはならない。
だが、商人は士とは違うので、
そのような義に反する ことも
行ってしまうのだ。

ほんの少しでも道を志す気持ちが
あるのなら、決してやっては
ならないことである。



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松下幸之助翁の座右の書


『石田梅岩「都鄙問答」』


   城島明彦・現代語訳 致知出版社




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