成毛眞氏の心に響く言葉より…
10年前と現在を比べると、私たち生活はじつに様変わりしている。
便利な商品やサービスが次々と登場したり、進化したりして、すでに生活に浸透しているからだ。
たとえば、ガジェットで言えば、「アマゾンエコー」や「グーグルホーム」などのスマートスピーカーは、2014年頃に相次いで誕生し、リビングの「顔」になりつつある。
2015年にお目見えした「アップルウオッチ」などのスマートウオッチをつけている人も、日常的に見かけるようになった。
ドローンも普通にホームセンターで売られていて、持っている人が増えてきている。
乗り物に関しては、ハイブリッドカーに加えて、100%電気で動く電気自動車も市民権を得てきている。
カーシェアも、都市部ではすっかりお馴染みになった。
冷蔵庫や洗濯機などの家電はIOT(モノのインターネット)搭載が当たり前となった。
ウェッブサービスも、進化が著しい。
音楽は「iTunes」からダウンロードしていたのはいまや昔で、「スポティファイ」や「アップルミュージック」のような、聞き放題の音楽ストリーミングサービスを利用する人が急増している。
「ネットフリックス」や「アマゾンプライム・ビデオ」のような動画配信サービスも群雄割拠していて、自宅で自由自在に好きなものが見られるようになった。
まだ大都市だけだが、出前を頼みたくなれば、「ウーバーイーツ」を使えば、和洋中、よりどりみどりの店を選んで、注文できてしまう。
ビジネス関連のサービスも、ここ数年で劇的に変化している。
「スラック」や「チャットワーク」のようなビジネスチャットの登場によって、コミュニケーションのスタイルはよりカジュアルで即時性が増し、プロジェクト管理も容易になった。
「zoom」のようなテレビ会議アプリの進化もめざましい。
中小企業や個人も高品質のテレビ会議ができ、リモートワークやテレワークが盛んになった。
「WeWork」の日本参入によって、シェアオフィスがますます脚光を浴び、サテライトオフィスとして利用する企業も増えてきた。
さて、ここで一つ質問だが、あなたは、いま挙げた商品やサービスをどれぐらい使い倒しているだろうか。
もし、ほとんど使っていないなら、積極的に取り入れるべきだ。
半分ぐらい使っているという人も、さらに新しい商品やサービスを試したほうがいい。
なぜなら、新しいものをどんどん使わなければ、トレンドの変化をつかめないからだ。
こうしたトレンドをつかむことは、ビジネスをするうえで非常に有効だ。
いまどきの消費者の気持ちがわかれば、新しいサービスや商品のアイデアが発想できるようになるし、その顧客心理に合わせた顧客サービスができるようになる。
しかし、意識的にトレンドの把握に努めないと、そうしたビジネスに対する感性は簡単に鈍っていってしまう。
時代の流れに取り残されないためには、とにかく新しいものを積極的に使ってみる。
これが大切である。
わかっているにもかかわらず、現実的には、新しいものを取り入れるのに消極的な人が多い。
消極的になる理由は、「捨てない」からだ。
捨てないというのは、「いま持っているもので間に合っているから、捨てる必要がない」という物理的な意味合いもあるが、実際には、精神的な側面が大きい。
使い慣れたものを使い続けたほうがストレスを感じずに済む、あるいは失敗することがないと思うから、「捨てない」のではないか。
「長年使ってきて愛着がある」とか「昔の考え方にも良い面はある」とか、理由はさまざまだが、なんのことはない、たんに保守的になっているだけだ。
歳をとればとるほど、このような傾向は強まっていく。
しかし、それを放置していることは、ビジネスをしていくうえでは、危険極まりない。
感性はどんどん鈍っていき、時代とズレにズレていく。
人間社会では同じような人が集まるものだが、感度が鈍い会社には、感度が鈍い人ばかりが集まるようになる。
すると、精神的には安定するかもしれないが、他社の社員とはまったく話が合わなくなり、世界は狭くなっていく。
そうして、捨てる人と捨てない人の差は開いていき、それがやがて経済格差につながっていくのだ。
それがイヤなら、捨てるしかない。
古いものを捨てて、新しいものを使うことは、自分の感度をつねにフレッシュにするための第一歩なのである。
『1秒で捨てろ!』PHPビジネス新書
昔から、商売をする人は、その時々の流行っている店、流行っている場所、流行っているモノに、行ってみたり、ふれてみたり、実際に体験することがとても大事だと言われる。
その時代のトレンドやそのパワーや勢いを体感しなければ、商売はできないからだ。
「不易流行(ふえきりゅうこう)」という言葉がある。
俳諧の概念で、松尾芭蕉がそれを説いたという。
「新しさ」や、「新しいこと」を求めて変化していくことこそが、不易の本質だという。
不易とは、いつまでも変わらないことであり、不変の本質。
何百年と続く日本の老舗(しにせ)も、表面的には変わっているようには見えなくても、中身は時代とともに変わらなければ、生き残ることはできない。
創業480年の老舗「虎屋の羊羹(ようかん)」には、「伝統とは革新の連続」という言葉がある。
17代当主、黒川光博氏は、「虎屋はいつの時代も、伝統の技術に新しい感覚を盛り込んできた」という。
時代の流れに取り残されないためには…
古いものを捨て、常に新しいモノやコトを積極的に取り入れる度量が必要だ。
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