小便器にハエの絵を描くだけで、オシッコが飛び散る量が80%も減る。
https://lrandcom.com/articles/just_need_little_push
マーケティングの神様と言われたフィリップ・コトラーによれば、2020年代のマーケティングは、顧客の自己実現を支援していくものになるのだと言う。
SNSマーケティングが全盛期であった2010年代は、「うちはこんな環境に配慮した事業をやってますよ!」、「材料はすべてオーガニック製品を使用していて健康に気を使ってますよ!」などと言った感じで、とりあえず良いことをアピールしていけば、消費者はそういったストーリーに影響されて商品を購入していきました。
しかし、本当の意味で重要のは企業がSDGsのアピールをすることではなく、世界70億人の人たちが持続可能な世界に向けて、どのように小さな行動を変えていくかということ。
もう「オーガニック製品」などと言うのは当たり前で、重要なのは、顧客がどう健康的なライフスタイルを維持し、それを長期間に渡って続けられるかという部分なのだろう。
男性の小便器に、小さいハエのイラストを描いただけで、床へのオシッコの飛び散り率は80%も減り、トイレの清掃費も大幅に減ったという調査があるように、人間の行動というのは、ちょっとしたアイディアで、背中を少し押してあげれば、正しい方向に自然と転がっていく。
スウェーデンでは、健康のためにどうやったら街の人がエスカレーターではなくて、階段を使ってくれるかを考えた結果、階段をピアノのようにデコレーションし、階段を登るとピアノのように音が鳴るように階段をデザインしたところ、自然とほとんどの人が階段を使うようになったそうです。
スーパーでは、果物や野菜売り場の近くに鏡を置き、買い物をする時に、自分の体型が見えるようにすると、健康に対する意識が働き、果物や野菜を多く買うようになるのだと言います。
また、先日、ヘルシーメニューのスープカレーを提供しているイエローカンパニーに行ったら、お皿の底に「エビスさま」のマークがあったら、ポイント5倍という記載があったので、思い切ってスープを全部飲んでしまいました。(恐らく、このような記載がなければ、スープは全部飲まなかっただろう。)
こう言った、ちょっとしたアイディアで、人間の行動を正しい方向に向けようという考えは、ナッジ(そっと押すという意味)とよばれ、このナッジを提唱したリチャード・セイラー博士は2017年にノーベル経済学賞を受賞している。
UCバークレーが行った349のテストによれば、ナッジの効果は、何かに登録してもらったり、お金を節約したりするなど、様々な分野において、平均8.1%ものポジティブな効果があったのだと言います。
ほんの小さな甘えが肥満や様々な無駄につながっていくように、頭を働かせ、ほんの少しだけ、正しい方向に背中を押してあげれば、人間は自然と正しい行動を取るようにできているのだろう。
ナッジマーケティングは資金を必要とせず、画期的なアイディア一つで、どれだけ顧客の行動を変えられるかが問われるという意味では、クリエイターやマーケターの腕の見せ所だと言えるでしょう。
ナッジの提唱者であるセイラー博士は、ナッジとは、決して指示や命令はしないが、ゴールや目的への方向をしっかりと教えてくれるGPSのようなものだと言います。
きっと、僕たちは強制されるのは大嫌いだけど、自分の意思でオシッコの的をハエにするのは大好きなのだ。
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