どうやって気が散るクセを
取り除くかと言えば、
元来「散る気」は、
なすべきことをなさず、
思うべきことを思わないで、
なすべきでないことをなし、
思うべきでないことを思うから
生じているのです。
まず心をよくコントロールし、
意思を固くして、
思うべきことを思い、
なすべきことをなそうと
決行するのが第一の方法でしょう。
前にあげた例で言えば(囲碁の最中に
商売の電報を受け取った場合の例)
電報についての処置をしてしまうのが
「なすべきこと」であるわけです。
碁石を置いてズイと達、
碁盤の前を離れてしまって、
帳場格子の内側なり、
事務室の中なりに入ってしまって
電報を読み「どうするべきか」と
商売上の対策を考えた後で、
返電なり何なり処置をなし終えてしまう。
それから碁を打ちたければ
碁盤の前に据わり、
全幅の信頼をもって
碁を囲めばいいのです。
気が散るクセがすでについている人は、
こういう万全のことができにくいのですが、
まず些細なことからでもいいのです。
最初は何でも
「なすべきことをなす」
「なすべきでないことをなさない」
「思うべきことを思う」
「思うべきでないことを思わない」
と、決意決行するのが一番でしょう。
『努力論』
(幸田露伴・著、夏川賀央・現代語訳)
致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。
押忍!
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