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2019年11月4日月曜日

勘違いな正義は厄介

【「自分が正義」の人に振り回されない方法】

精神科医、片田珠美氏の心に響く言葉より…

世の中には「自分が絶対正しい」と思い込み、周囲の意見などまるで聞かない人が本当に大勢います。

●「自分の意見が正しいんだ!」という主張を変えず、部下の話などまるで聞かない上司

●何でもすぐに「他人のせい」「周りのせい」にして「自分が悪いのかも…」とは微塵も思わない友人

●「自分は常識人」と思い込み、価値観が合わないと「あの人は非常識だよね」「モラルがない」と文句を言う人

●自分の知識や経験だけが「正しい」と信じ込み、他人が持ってきた情報や意見には「それって違うよ」「本当はそうじゃないんだよ」と上から目線で否定する人

…など、例を挙げればキリがないほど、世間は「自分が絶対正しい」と主張する人たちであふれかえっています。

「自分が絶対正しい」と主張し、他人を振り回す"加害者"がたくさんいれば、当然のごとく、その"被害者"も大勢います。

「自分が絶対正しい」という人たちは、往々にして「自分に甘く、他人に厳しい」ので周囲は本当に迷惑します。

そんな迷惑な存在には近寄らないのが一番ですが、仕事の関係者、友だちづきあい、ご近所のコミュニティなど「嫌でも、近づかざるを得ない」という方が多いでしょう。

そんなとき、あなた自身が被害者にならない(あるいは被害を最小限に抑える)ためにも、「自分が絶対正しい」と主張する人に関する「知識」「考え方」「具体的な対応策」を知っておかなければならないのです。

被害者になりやすいのはどんな人でしょうか。

一言で言うなら、それは「いい人」です。

素直で純粋、他人に親切で、相手を気遣うタイプ。

責任感が強い人も被害者になりやすいでしょう。

たいてい「いい人」というのは、相手の言うことを信じやすく「ちょっと違うんじゃないかな…」と心の中で思っていて、「〇〇さんの言いうことなんだから、きっと間違いないだろう」と相手を尊重してしまいます。

普通に考えれば、それはすばらしい人柄、人格です。

しかし、そんな「いい人」ほど、「自分が絶対正しい」と主張する人にとっては格好の餌食(えじき)になってしまいます。

残念ながら、「いい人」では世の中渡っていけないのです。

そこで、本書では「ちょっとだけ悪人になってみよう」と提案します。

これまでの「純粋でいい人」から、ちょっとだけ悪人の要素を入れて「プチ悪人」になるのです。

"ちょっとだけ"疑いの目を持ってみる

"ちょっとだけ"相手の裏を探ってみる

"ちょっとだけ"反論してみる

"ちょっとだけ"上から目線で相手を見る

"ちょっとだけ"小馬鹿にしてみる

など、本当に些細でいいので「イジワルで、悪人の要素」を心に持つと、モノの見方・感じ方が変わり、コミュニケーションの仕方も変わってきます。

これまでは「腹が立つだけ」だった上司や同僚、友人に対しても、上から目線でちょっと小馬鹿にする視点を持つと「けっこう笑える存在」になったりします。

あるいは、「ちょっとだけ反論する」というコミュニケーションを身につければ、相手があなたについて抱く印象は、「何でも自分の言う通りになる存在」から、「ちょっとやっかいな相手」へと変わるでしょう。

このちょっとした変化が大事なのです。

そしてもう一つ。

プチ悪人になるにあたって、ぜひともやってほしいのが「分析ぐせをつける」ということです。

たとえば、「否認型」というものについて解説します。

端的に言うと、「自分に非があるからこそ、相手の問題点を過剰に攻撃する」というタイプです。

部下のミスに対し、過剰に怒鳴りつける上司に出会ったときには、

「あれ、この人、自分に非があることを知っていて、それを否認するために攻撃的になってるな…」

と相手のことを分析目線で観察するのです。

じつは、この「冷静かつ客観的に分析をする」という行為が、あなたのメンタルを守る上で、とても大事になってきます。

はっきり言って、「自分が絶対正しいんだ!」と激昂している人に何を言っても無駄です。

ただし、相手の怒りをそのまま受け止めてしまうと、あなた自身も落ち込んで、精神的なダメージを受けてしまいます。

そうならない方法として、オススメなのが「分析ぐせをつける」ことです。

どんなに相手が怒り狂っていたとしても、「ああ、この上司は否認型で、自分に非があることを追求されたくないから、過剰に怒っちゃってるんだなぁ…」と冷静かつ客観的に相手を観察するのです。

そうやって分析思考になれた瞬間から、あなたの感情は落ち着いてきますし、メンタル的なダメージをかなり軽減することができます。

絶対に忘れてほしくないポイントはやはり次の二つです。

1. プチ悪人になること

2. 分析ぐぜをつけること

『「自分が正義」の人に振り回されない方法』だいわ文庫

片田氏は、「否認型」の他には代表的なものとして「利得(りとく)型」があるという(本書より)。

『利得型は自分のメリットにとても敏感で、「損か得か」しか考えず、自分が損をする(あるいは、得をできない)となると徹底的に攻撃します。

理屈、常識、マナーなんてものが通用する相手ではないのです。

利得型に限らず「自分が絶対正しい」と思っている人たちはは一様にそうですが、「それが本当に正しいのか」「説得力があるのか」「根拠があるのか」なんてところは飛ばしてガンガン主張しまくるので、対処するほうは困ってしまいます。

なかでも利得型は「こうなれば自分に大きなメリットがある」という部分について、手段を選ばず、やりたい放題で意見を主張してくる傾向が強いと言えます。

きっとあなたの周りにも「自分の意見を通すために、すぐに怒る」という人が一人や二人いるはずです。

彼ら、彼女らは「怒れば周りが言うことをきく」ということを経験的に知っているのです。

特に日本人は「怒っている人と口論してまで、自分の主張を通す」ということをしない傾向が強いですから、このタイプにはじつに住みやすいコミュニティなのです。

レストランでも、ホテルでも「どうしてこんなことができないんだ!」「オレはこんなにも困っているんだ!」と大きな声で文句を言えば、それなりに丁重に扱ってくれます。

以前、あるレストランで「店員の態度が悪い!」と文句をつけている人を見かけたことがあります。

少し耳を傾けてみると結局、その人も「店員は自分に対してもっと丁寧な対応をするのが当たり前だ」「それがオマエの仕事だろう!」という「自分なりの正しさ」を強く主張していたわけです。

私が見る限り、怒鳴りつけるほどひどい対応だったとは思いませんが、「自分が絶対正しい」と思っている人にとって、そんな理屈、事実、一般常識は通用しません。

結局、店長が謝罪に来て、ワインを無料でサービスしてもらっていました。

ここでもまた、その人に利得があったというわけです。

もちろん、この人だって最初から「ワイン狙いでクレームをつけた」というわけではないでしょうが、利得型にしてみれば「してやったり」というところです。

こうして、この人は「ごねれば得をする」という成功体験を得て、ますます利得型の行動パターンに拍車がかかるのです。』

あるレストランで、「サービスが悪い」と怒鳴りまくっていた人が、「近くの〇〇という店では、ちょっと注意しただけで無料にしてくれたぞ」と言っていたのを聞いたことがある。

まさに、成功体験を得ると、その行動パターンが強化されるという実例だ。

普段、普通に話しているときに、相手を「分析する人」は周りから好かれない。

それは、分析することによって、冷静で客観的になり、あたたかさや、親しみ、かわいげなどがなくなってしまうからだ。

しかし、相手が極端に怒っているときや、偉そうに威張ったり、上から目線で話してくるような、気分が悪くなるような人と会ってしまったときには、「分析」はかなり重要だ。

客観的で、冷静になれて、自分の感情が乱されなくてすむからだ。

「自分が正義」の人に振り回されない方法を身につけたい。

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押忍

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