石田勝紀氏の心に響く言葉より…
AI(人工知能)、スマホ、テクノロジー、オンラインゲーム。
このような言葉を聞かない日はなくなりました。
2008年のiPhone登場以来、世界の様相は一変しました。
ライフスタイルも、企業のあり方も、働き方も。
教育も、もちろん例外ではありません。
私は1989年以来、30年にわたって教育分野に携わってきましたが、子どもたちを取り巻く環境が今ほど変わった時代はなかったと感じています。
まさに20世紀型から21世紀型への大転換。
そこにテクノロジーの進化発展がベースにあることは誰しも認めるところでしょう。
最も進化の遅い分野の一つである日本の教育分野も、これから大きく変わります。
2020年を境に大変化することが決まっているのは、みなさんすでにご承知だと思います。
その背景には、テクノロジーの進展により企業で求められる人物像が大きく変わった時代の変化があるのです。
一方で、小中高生を持つ親の大きな心配ごとの一つに、「スマホ・ゲーム・動画に子どもがハマって、勉強しない」という悩みがあります。
現在、私は勉強会を全国で主催していますが、この2年で1000人以上のママさんと直接お話しし、そこで受けた相談内容の中で最上位に上がってくるのが、まさにこの悩みなのです。
一昔前も、このような悩みはありました。
たとえば、「うちの子、漫画ばかり読んでいて、ちっとも勉強しない」の漫画という言葉、時代によってさまざまに入れ替わっているだけなのです。
しかし、今のテクノロジーに関する親の悩みには、昔の悩みと異なる問題があるのです。
それは、「デジタルネイティブ×アナログネイティブ」という対立構造があるからです。
そしてこの2種類の対照的な人たちが混在する世界になっているのです。
デジタルネイティブの定義はいろいろとできますが、私は、2008年以降に生まれた子どもたちと定義づけしています。
なぜなら、iPhone誕生の2008年を起点に、これ以降に生まれた子どもたちは、生まれた瞬間からスマホ、タブレットといった世界を一変させたテクノロジーに囲まれて生きているからです。
生まれた環境が与える思考への影響、生活習慣に与える影響は少なくありません。
ということは、親世代と今の小学生には大きな価値観の相違があるということなのです。
そして、その子はやがて中学生、高校生になり、十数年経つと社会に出て、20年も経つと社会を動かす立場になります。
であれば、アナログネイティブである親たちの価値観は時代遅れになりつつあるのではないか?と思うのです。
これは価値観が正しいとか間違っているという意味ではありません。
時代が変わったのです。
企業の内部でも、価値観の相違による軋轢(あつれき)は頻出しています。
特に若い世代の社員を育成することが難しくなってきているのです。
これはある意味、これまでアナログネイティブの人たちが正しいと思ってきたアプローチ方法が、間違っている可能性もあるということです。
子どもの教育の世界でも、企業内部の人材育成の世界でも、できることはひとつです。
それは今、テクノロジーを活用した教育がどこまで進んでいるのか、事実を知ることです。
事実を知ると、理解ができます。
理解ができると、歩み寄りができます。
つまりアプローチ方法がわかるのです。
『新時代の学び戦略』(石田勝紀氏&小宮山理恵子)日本工業新聞社
2020年の教育大改革について山下慎也氏はこう語る。
『2020年に学校の勉強が大きく変わります。
今回の変化は「脱ゆとり」どころの騒ぎではなく「教育の明治維新」と言われるくらいの大きな変化ですが、まだまだほとんどの保護者の方にとっては「教科書が変わるだけでしょ」程度にしか思われていません。
今回の変更の一番のポイントは、これまでの「どれだけ知っているかという知識重視の学習」から「どう考えるかという思考力重視の学習」に変わるということです。』
これには、ビジネスモデルの大変化による、産業界からの要請もあったという。
創造性やデザイン思考といった発想が、とてつもなく必要とされる時代になったからだ。
ある就活生が小さなベンチャーに入りたいと言ったところ、親に大反対をされ泣く泣く大手の会社に就職することになったという。
親の古い考え方やリテラシーは子どものチャレンジの目を摘んでしまう。
小さなベンチャーに行けば失敗する可能性も高い。
でも、「それでもいいじゃないか」、と言えるだけの「失敗耐性」を親が持っていないと安全な(錯覚だが)道を勧めてしまう。
「失敗耐性」とはアントレプレナーシップのことだ。
アントレプレナーシップとは、何度失敗してもなおチャレンジするという起業家精神のこと。
起業は、失敗の連続だからだ。
親の世代は、完全なアナログネイティブ。
デジタルネイティブの子どもたちとは大きな隔たりがある。
時代は変わり、会社も組織も、そして考え方も大きく変わっている。
きたるべき2020年は、「教育の明治維新」。
新時代の学びの戦略を身につけたい。
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押忍
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