試験については、わたくしは、
人々がともすれば看過しがちな、
今ひとつ意義を認めるものであります。
それはどういうことかというと、人間というものは、
どうしても自分がしなければならぬ事柄に対しては、
たとえそれがどんなにいやな事柄であろうと、
またその事自身が、どれほど価値があると
否とにかかわらず、常に全力を傾けてそれと取り組み、
ついにそれをやり抜くということが大切でありまして、
このような人間的態度を鍛える点では、
試験というものは、登山や遠泳、
あるいはスポーツにおける合宿訓練などと同様に、
ひじょうに意義があると思うのであります。
ですから試験に対して、
真剣に取り組めないような人は、
人生の真の勝利者になることは、
どうも困難ではないかと思うのであります。
――『幻の講話』第二巻より
森信三
押忍!
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