ある冬の寒い日の総裁との思い出…、
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第19期生当時の会館総本部内弟子達は会館または寮(若獅子寮)に在住時は必ず、
大山総裁が会館に来られる際と会館からお出掛けになられる際は玄関前にて内弟子総出で、
お見送りまたはお出迎えをしなければならない内弟子諸先輩方より受け継いだ伝統の暗黙のルールがありました。
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そんな冬の寒い日、総裁お出迎えの時…、
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総裁
西池袋会館総本部横の公園前に車で到着。
(当時、総裁の車は黒塗りの日産プレジデント)
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私
総裁到着を見計らって、猛ダッシュで黒塗りプレジデントまで疾風の如く突っ走る。
(会館到着時刻は当時では非常に貴重な車内電話から運転手である同期、川南さん(現 極真 佐賀支部長)から随時連絡が会館ピンク電話に入る。)
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私
到着と同時に左後部座席(総裁は常に左後部座席に座られておりました)のドアを総裁より、
素早く、しかも丁寧に、
「押忍!、失礼します!」
と、渾身の声で力で開ける。
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総裁
「ハイ! ご苦労さま、ありがと、ありがと!」
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私
「押忍!」
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総裁
「いゃぁ~、今日は寒いね~〜」
と声を掛けてくださりながら、私に握手をしてくださる。
(この総裁との握手。
総裁はどんな時でもお会いすると必ずこの握手をしてくださったのです。
一度でも総裁と握手をされた事がある方ならお分かりだと思いますが、
総裁と握手をしていただいただけで何か自分まで最強の男?になってしまった様な錯覚に陥ってしまうほどのパワー、力、エネルギーをいただいてしまうのでした。(^^;;
これが総裁の機嫌が良い時などは握手しながら、頰っぺたをペンペンと叩かれたり、首の後ろを撫でてくれたりしながら声を掛けてくださる訳であります。
もう本当にその暗示(握手、スキンシップ)だけで強くなった気になってしまうのです。
実際問題、
大山倍達総裁の為なら死ねる、命をかけられる!
と何の疑問もなく普通に思ってしまう魅力があったのでした。)
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私
ただただ、
「押忍!」
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総裁
私の手がアカギレ(炊事洗濯掃除の下座行のため)や稽古でボロボロに荒れている事にに気づき、
「いゃぁ~、きみぃ、手がボロボロじゃないのぉ~」
と私の手をさすってくださり、
今まで総裁が付けていた軍手をサッと素早くとり、
そのボロボロにアカギレた私の手に、素早くその軍手をはめてくれる。
(総裁は冬場は手袋ではなく何故だか軍手を愛用されておりました。
先ほど総裁の愛車はプレジデントと書きましたが、
実際は世界の極真の総裁という立場上しょうがない事であり、
驚くほどに私生活はいたって質素、まさに清貧そのものでありました。)
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私
ただただ、
「押忍! ありがとうございます!」
総裁にとって末席の末席、
そのまた末席の内弟子の私にはこの一言以外の言葉など出ようはずがありません。
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総裁
「君たちのその手を田舎のお父さんお母さんが見たらビックリするよ!
大切な子供を、こんな辛い修行に出してくれた、
お父さん、お母さんに感謝しなくちゃダメよ!
だから、君たち、必ず強くなって親孝行するんだよ!
諦めちゃダメだよ、逃げちゃダメだよ!
まぁ、がんばりたまえ!
男の勝負や、 ここは!(若獅子寮は!)」
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私
ただただ、
「押忍!」
極真 大山倍達総裁
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「このシリーズ、あくまでも、
わたし石黒が第十九期生として内弟子修行した三年間当時の、
拙い記憶、日記、メモをもとに書かせて頂いております。
強烈猛烈な師匠への憧れ、 尊敬、
何度でも何度でも、繰り返し繰り返し、同じお話をされる総裁。
その強烈なインパクトで今もって総裁のお言葉が頭に耳にこびり付いております。
その辺りを御理解して読んで頂けると非常に幸いであります。
内弟子諸先輩後輩の皆様方、また優秀な極真師範、先生、先輩、後輩の皆様方がおられる中、
誠に僭越では御座いますがあえて書かさせて頂いております、御理解の程をどうか宜しくお願い申し上げます。
いつも本当にお世話になりありがとうございます。
今後とも御指導御鞭撻の程を宜しくお願い致します。」
押忍!
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