プロフィール

2019年6月19日水曜日

嘲笑→反対→同調

ドイツの哲学者、ショーペンハウエルは、
何事かをやり始めて成功するまでには3段階あると言っています。
第1段階は笑い者になる、嘲笑される。
第2段階は激しい反対、抵抗を受ける。
その過程を経て、第3段階にして成功を遂げることができるというのです。
 
確かに私もそうした経験をたくさんしてまいりました。
 
創業当初は、十分な労働環境を整えることができませんでした。
それでも社員たちには、何とか心を荒ませずに働いてほしい一心で、
せめて身の回りの環境を美しくしようと考えて職場の掃除を始めました。
 
その活動はたった1人で始めたことであり、
誰に命じたものでもないのですが、10年を過ぎた頃から
1人、2人と手伝うようになり、やがて会社の枠を超えて全国に広まり、
いまでは北京、台湾、ルーマニア、イタリアなど、海外にまで広まっています。
 
ところが掃除を始めた頃には、
「そんなことしかできないのか」と散々馬鹿にされ、嘲笑されました。
企業研究で当社を訪れたある有名大学の先生からは
「あなたは社長を替わったほうがいいですよ」とまで言われる始末でした。
 
私は、ショーペンハウエルのような偉大な哲学者でさえ
嘲笑や抵抗に遭うのであれば、
自分のような凡人がそういう目に遭うのは当たり前だと考え、
それに耐えて今日を築いてまいりました。
いまは耐えることの大切さを深く実感しておりますし、
嘲笑や抵抗に耐えられる忍耐心が自分に備わっていたことを、
本当に幸せに思っております。
 
仏教に、

「忍の徳たること、持戒苦行も及ぶこと能わざるところなり」
 
という教えがあります。持戒苦行というのは、
例えば千日回峰行のようなお坊さんの命懸けの厳しい修行のことを言いますが、
日々体験するいろんなことを我慢する、
耐えるということは、そうした宗教的な苦行も
及ばないくらいに尊い修行であるということです。
 
私は幸いにして、能なしであったがゆえに耐えることができたんですね。
これまでいろんな辱めにあってきましたけれども、
もし幾らかの才能があったらとても我慢できなかったでしょう。
逆に、中途半端な才能なんか持っていなくてよかったと思うくらいです。
 
創業時には、商品を売りに行っても
まず相手にしてもらえることはありませんでした。
名刺も受け取ってくれない。
取ってくれたと思うと目の前で破り捨てられる。
バケツの水をかけられる。自転車を蹴倒され、
積んでいた商品がそこら中に散乱してしまったこともあります。
 
それでも私は耐えました。だから今日こうして健全でおられるわけです。
もしあの時に私が腹を立てて行く先々で喧嘩をしていれば、
きょう皆さんの前に立つことはできなかったでしょう。


鍵山秀三郎(イエローハット創業者)

致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。


押忍

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