精神科医、和田秀樹氏の心に響く言葉より…
運の強い人は、じつは、やって当たり前のことをきちんとやっている人なのです。
平凡といえば平凡な答えですが、目立つことだけ一生懸命になって、目立たないことはいい加減にやっている人は、1つの運をつかんでも、それが逃げていくと、もうつかまえる運がありません。
でも、どういう仕事、どういう役割であっても一生懸命にやっている人は、いろいろなところで運をつかむチャンスに出合います。
あなたの周りを見てください。
「彼には安定感があるな」とか「彼女はいつも朗(ほが)らかだな」と思わせる人は、自分本来の仕事はもちろん、どんな小さな仕事や目立たない作業、地味な雑用でもきちんとこなしているはずです。
しかも一生懸命、楽しそうにやっているはずです。
そういう人は、大きく落ち込んだり崩れたりすることはありません。
本来の仕事が不調でも、ミスが続いても、全体の仕事を信頼されていれば周囲もちゃんとフォローしてくれます。
それに対して、ポイントを稼げる仕事のときだけ張り切るタイプは、運をつかめばそのときは勢いがよくなりますが、周囲は冷ややかです。
「やることやってないじゃないか」と、あ「わたしはあの人、信用していない」といった見方をします。
すると、せっかくの運も孤立します。
じつはここが大切なところで、わたしは「みんなが喜んでくれたり応援してくれる幸運」は長く続いても「孤立した幸運」はすぐに終わってしまうと思っています。
たとえば美味しいものが手に入っても、自分ひとりで楽しんでしまおうとする人と、仲間に声をかけて一緒に食べようとする人では、その後に続く幸運の長さがまったく違います。
自分ひとりで楽しめば、幸運を独り占めできるかもしれませんが、食べてしまえばおしまいです。
誰も美味しいものをプレゼントしてくれないのです。
でもみんなで楽しむ人は、幸運の量は減っても誰かがまた声をかけてくれます。
「この間はとっても楽しかった。今日はわたしが珍しいものをご馳走しますよ」と声をかけてもらえば、思いがけない幸運を味わうことができるのです。
この繰り返しで、長く幸運に出合い続ける人生のほうが、はるかに幸せなはずです。
『「いいこと」を引き寄せる法則』新講社ワイド新書
和田氏は本書の中でこう語る。
『わたしは高齢者専門の精神科医になったことで、歳をとってからみじめな思いをするのはおカネがないことではなく、若い人に慕われないことだと思うようになりました。
いくら経済的に恵まれていても、家族や子どもたちはもちろん、誰からも慕われずに生きていくというのは不幸な人生だと気がついたのです。
すると、わたし自身の人生観も変わってきます。
おカネを貯め込むことより、自分の好きなことにおカネを使って、いろいろな人と楽しくつき合い、頼ったり頼られたりしながら生きたほうがずっといいと思うようになりました。
そこから開けてきた運というものが、たしかにあるのです』
慕われない人は、美味しいものを独り占めする人、つまり、自分だけよければいいと思っている人。
また、愚痴っぽくて、不機嫌で、ケチで、人の話を聞かず自分の話ばかりだったり、目立つことが好きで地味な仕事は手を抜くような人、つまり、誠実さや信用がない人。
若い人に慕われる人を目指したい。
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