ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の心に響く言葉より…
1800年代のアメリカに、アイスハーヴェストという天然氷を切り出して世界に販売する仕事がありました。
家庭で食料を冷やすための氷です。
その頃からすでに生産性や効率性という言葉が流行っていて、イノベーションによって、氷を早く切り取り流通させるシステムが作られていました。
けれども、彼らが頑張っている間、その業界の常識をまったく知らない人たちが参入してきて、製氷機を使って工場で氷を作り始めたため、一年中いつでも氷が手に入るようになったのです。
天然氷を切り出し販売していた事業者は皆その仕事を失いました。
ここで注目すべきなのは、天然氷の切り出し事業者のうち、製氷工場の事業に転業できた事業者は1社もなかったということ。
そしてさらにイノベーションは続き、家庭でも必要な氷が作れる冷蔵庫が登場しました。
このように、その業界での主流技術とは全然違う技術によって従来のビジネスが壊滅的打撃を受ける破壊的なイノベーションは、今に始まったことではなく、大昔から起こり続けてきました。
ただ、20世紀以降、そういった事例が増えるようになり、AI時代の今は毎日のように起こっています。
もう一つは、ウーバーの事例です。
ウーバーは、一般的なタクシーの配車に加えて、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みです。
2009年の会社設立以降、短期間で広まり、現在では世界84の国・地域の760以上の都市で運営されています。
ヨーロッパでは、職を失うことを恐れたタクシー運転手たちによるストライキや暴動、ウーバー運転手への攻撃が相次いでいます。
1811年から1817年頃のイギリスで、ラッダイト運動が起こりました。
これは、産業革命により機械が普及し、失業の恐れを感じた手工業者・労働者が機械を破壊した運動です。
ウーバーへの攻撃は、これになぞらえて「ネオ・ラッダイト運動」と呼ばれるようになりました。
今は、産業革命に匹敵する変化の時代と言えるでしょう。
製氷工場を作った人たちや、冷蔵庫を作った人たち、エアビーアンドビーやウーバーのような企業など、パイオニアと呼ばれるような人たちには、共通点があります。
一見愚かなアイデアをビジネスにする、新しい行動パターンを作る、新しい考え方を競争が激しい飽和マーケットに持ち込む、まずマネタイズしない、経験がない創業者…などです。
これからの働き方のステージは、クリエイティブエコノミーです。
そしてこの時代に生き残る人材や企業は、ゼロから新しい価値を生み出す人々であり、彼らに求められるのは、情熱、創造性、率先です。
デジタル化によって民主化が進むと、個人の軸をちゃんと持たないと大変です。
平凡な人は会社保障と社会保障を求めていますが、これからは個人の力で動いていくことが必要です。
行政もゼロから1を生み出す仕事になっていきます。
個人がどういうふうに考えれば成功できるのかといえば、官僚でも誰でも起業精神が必要になります。
社会を見渡せば、既存のコースはどんどん色あせています。
IT業界を見ると、DEC、コンパックなど、かつて成功した企業が姿を消しています。
まさに栄枯盛衰です。
一方で、現在成功している企業を見ると、業界内で戦っている企業ではなく、「新しく業界を作ろうとしている企業」であることに気づきます。
グーグル、フェイスブック、エアビーアンドビー、ウーバーといった企業です。
最も成長している企業は、新しい業界を作り、競争がない市場でナンバーワンになっています。
『ニューエリート』大和書房
「ブルー・オーシャン戦略」という有名なマーケティングの言葉がある。
「ブルー・オーシャン戦略」 とは、競争相手のない未開拓の市場(青い海)のことを指す。
それに対して、「レッド・オーシャン戦略」がある。
競争の激しい既存の市場(赤い海・血で血を洗うような激しい競争がある領域)のことを言う。
ブルー・オーシャンを見つけるのは、往々にして、その分野では経験のない経営者だ。
前例にとらわれず(というか前例を知らない)、垣根を超えた突拍子もないアイデアを出す。
ゼロから新しい価値を生み出す人々だ。
既存の厳しいレッド・オーシャン業界で、徹底的なコスト削減や、省力化をはかって一時的に利益を出していたとしても、あるとき、その業界そのものがなくなってしまったら勝負すらできない。
タクシー業界がそのいい例だ。
将来、自動運転になり、自家用車を持つという概念がなくなったりしたら、確実に今の形態のタクシー業界はなくなる。
これらのことは、AIやITがすすめばすすむほど様々な業界へ、大きな変化となってあらわれる。
「新しく業界を作ろうとしている企業であること」
ゼロから新しい価値を生み出す人を目指したい。
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