プロフィール

2018年12月21日金曜日

「人工知能が拓く日本の活路」
 東京大学名誉教授・月尾嘉男

(月尾)
……日本がいかに出遅れた状況になっているかを表しているのが、
企業の時価評価総額の順位です。

1992年の順位では、
上から20位以内に日本企業が15社入っていました。
ところが、2018年を見ると、
1位から4位までGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
と呼ばれるアメリカのベンチャー情報企業で、
6位・7位も中国のテンセント、アリババと、
どちらも情報サービス関係の企業です。

日本企業では、トヨタが37位に入っているだけで、
情報企業は100位以内に1社も入っていません。
 
これが日本の現実なのです。

日本がここまで凋落してしまった理由を端的に言えば、
情報革命への対応、教育が遅れたということです。
 
1980年代、日本は自動車や半導体など、
ものづくりの分野でアメリカを次々と抜き去り、
得意の絶頂にありました。

ところが、アメリカはその時になぜ負けたのかを反省し、
日本に勝つための戦略を徹底的に研究し始めました。
 
そして、次の時代はものづくり産業から情報産業に社会構造が移っていくと判断し、
そのための教育投資や産業育成に力を注いでいったのです。
グーグルなどのベンチャー情報企業が一気に出てきたのも1990年代です。
 
2005年には、アメリカ科学財団が
「これからはSTEM(サイエンス、テクノロジー、
エンジニアリング、マセマティクス)教育を推進しない限り、
世界の覇権は取れない」と提言しました。

そこでオバマ前大統領は、
就任した直後に「STEM教育に徹底して力を入れる」と演説し、
実際に毎年数千億円を投資してきました。
 
日本はどうかというと、
教育指導要領に「2020年から小学校でプログラミングを教える」
ことをようやく盛り込んだところです。
アメリカに10年以上遅れています。
 
また、日本は科学技術の研究予算を増加させてきませんでした。
それにより、情報社会に求められる技術や産業の育成に十分な資金を投資できていません。
 
それからもう一つ、日本の大問題は、
「ビッグデータ」が決定的に不足していることです。
 
例えば、アマゾンは1995年の創業以来、
顧客の購入履歴などのデータを蓄え続けてきました。
その膨大なデータによって、世の中の動向や消費者の需要を分析してきたわけです。
GAFAの企業は、まだビッグデータという言葉がない頃から
データの持つ価値を理解していたのです。
 
一方で、当時から日本は……

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押忍

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