「大人に求められるのは子供が自ら考え、答えを出すのをじっと待ってやることで、端から正解を教えてしまっては本人の身にならない。」
致知2013年6月号 致知随想より
体操日本代表の田中三兄妹(和仁選手・佑典選手・理恵選手)の父親であり、和歌山北高校体操部顧問・田中章二さんの言葉
人の話をよく聞いたり、場の空気を読めたりする精神年齢の高い子は上達も早いため、そうした機会や課題をなるべく多く与えたいと考えてきた。
これは長男の和仁が3歳の時のこと。
スーパーへ行くと、キッズコーナーにお金を入れれば動く電動式の乗り物があった。
和仁は跨って遊んでいたが、 私は最初からお金を入れてやることはせず、その日はそのまま帰ることにした。
次に行った時、和仁の目線の先に、動いている乗り物で遊ぶ子供の姿があった。
和仁はその子が乗り物から降りるとすぐそちらへ駆けていったが、止まってしまった乗り物はもう動いてはくれない。
3回目、和仁は自分は乗り物に乗ろうとはせず、やってきた親子連れの姿を見ていた。
そしてその親がお金を入れて乗り物が動くところを目にしたのだろう。
私のほうへ駆け寄ってきて、
「お父さん! あそこにお金を入れたら動くんや」
と実に嬉しそうに話をした。
その時、私は単にそうかとお金を渡すのではなく、
「おまえ、よう見抜いたなぁ!
自分で分からんことがあった時には、まず周りをよく見ることが大事なんや。
おまえは凄い、
きょうは好きなだけ乗せてやる」
と誉めちぎった。
和仁は7回連続で心ゆくまで乗り物に乗った。
これと同じことがスポーツ指導にも言えるだろう。
大人に求められるのは子供が自ら考え、答えを出すのをじっと待ってやることで、端から正解を教えてしまっては本人の身にならない。
身体能力がいかに恵まれていても、それだけで強くなっていけるのは小学校6年生程度までがせいぜいで、頭を使えない子は必ず行き詰まってしまう。
子供が持つ可能性は無限だが、その能力を伸ばしてやるための環境づくりをし、
いかに本気に、真剣に取り組ませることができるかは、我われ大人の役割であり、責任であると言えるだろう。
シェアさせていただきました。
押忍
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