■「問われるのは、自分から変わる勇気」
上甲晃(志ネットワーク「青年塾」代表)
(上甲)
当時のカルカッタは人口一千万人のうち200万人が路上生活者で、至るところに生死も分からない行き倒れの人が転がっていました。全身から膿を出している人、ウジ虫の湧いている人、とても側に寄れたものではありません。
しかしマザー・テレサと仲間のシスターたちは、一番死に近い人から順番に抱きかかえて、死を待つ人の家に連れて行き、体を綺麗に洗ってあげ、温かいスープを与えて見送るのです。せめて最期の瞬間くらいは人間らしくと願ってのことでした。
運よく、カルカッタの礼拝堂でマザーに面会することのできた私は、
「どうしてあなた方は、あの汚い、怖い乞食を抱きかかえられるのですか?」
と尋ねました。
マザーは即座に、
「あの人たちは乞食ではありません」
とおっしゃるので、私は驚いて
「えっ、あの人たちが乞食でなくていったい何ですか?」と聞くと、
「イエス・キリストです」
とお答えになったのです。私の人生を変えるひと言でした。
マザーはさらにこうおっしゃいました。
「イエス・キリストは、この仕事をしているあなたが本物かどうか、そしてこの仕事をしているあなたが本気かどうかを確かめるために、あなたの一番受け入れがたい姿であなたの前に現れるのです」
目から鱗が落ちる思いでした。マザーの言葉を伺った瞬間、私が松下政経塾で、あんな人は辞めてほしいと思っていた塾生が、実はイエス・キリストであったことに思い至ったのです。
自分はこれまで、他人を変えようとするあまりどれほど人を責めてきたことだろうか。しかし、いくらそれを続けたところで人を変えることはできない。人生でただ一つ、自分の責任において変えられるのは自分しかない。
常に問われているのは、自分から変わる勇気を持てるかどうかだ。このことに気づいた途端、心が晴れ晴れとしてきたのです。
最高の精神の自由とは……
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押忍!
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