プロフィール

2017年4月16日日曜日

人間ぞ、

「シンナー吸うとお腹が
 すいとることを忘れられる」。

シンナー中毒の少年のひと言が
きっかけとなり、以来35年もの間
非行少年や、貧しい子供たちに
無償で食事と居場所を提供し
続けてこられた中本忠子さん。

中には非行に走る子がいたことも
あったそうですが、
皆、近所の方々に可愛がられるように
なっていったそうです。

子供たちを変えた、
中本さんと子供たちとの
3つの約束とは何なのでしょうか。

「広島のマザー・テレサ」と言われる
中本さんのご活動に胸を打たれます。

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中本 正直な話、
   最初は厳しかったよね。

というのも、そういう子供たちを
受け入れようとすると、
周りが反対するじゃないですか。

人は髪型とか服装、言葉遣いで
判断しますからね。

そうじゃないって
分かってもらえるまでに
4〜5年はかかりました。

どうにかしてそういう
子供たちを受け入れさせて
もらおうと思うたら、
まず我われが動かにゃ
地域住民を動かすことはできん。

自分が動かずに口先ばかり
立派なことを言うたって、
誰もついてこないです。


それがために、町内会の役員や
地域の清掃活動も
一所懸命やりました。

当時はものすごく落書きが
多かったんですよ。

だから、その落書きを
消して歩いたり、
ゴミを拾ったり。

そういうことをしながら、
毎日子供たちの食事と
お弁当をつくり、
保護司の仕事もするんよ。

毎晩のように警察署に行って、
親に引き渡すまで子供を
ずっと預からにゃいけん。

私も若かったから、
二晩くらい寝ずに動き回っとった。


記者 凄まじいバイタリティーです。
   その活力の源泉は何ですか。


中本 それはやっぱり子供たちが
   成長していく姿を見ること。

うちに来たばかりの子は箸を
よう持たん子もいるけんね。
スプーンをくれって言うんよ。

それで、食卓に茶碗を
置いたまま食べる。

魚の骨を取ることもできんから、
魚が食べられないとか、
お米を食べたことがない
子もおるよ。
考えられんじゃろ。

でも、それが現実。

親が共働きだと、子供には
勝手に夕飯食べてって言うて
コンビニやスーパーの弁当を
ポンと置いておく。

もっと酷い家だと
食べるものすらない。

一家団欒で食卓を囲む
ということがない家庭が
あるんですね。

そういう子供たちが
うちでご飯を食べて、
勉強しようという力が
湧いてきたとか、
不登校だったのが
学校に行くようになったとか、
それまでは家に
帰りたくなかったけど、
何日かに一回家に
帰るようになったとか。

そういうのは
やっぱりすごく嬉しい。


記者 子供たちと向き合う上で、
   心掛けていることは
   ありますか。


中本 食材に関しては、
   冷凍食品とか外国産のものは
   極力使わんようにしとる。

私たちが食べておいしいなと
思う食事を、子供たちに
いつも食べさせようと。
これが基本です。

だから、味見して、
これちょっとおいしくないね、
でも子供はお腹減っとるから、
食べられればいいよね
っていう感覚は一切持っとらん。

それと、これは心掛けとは
違うかもしれんけど、
うちに来る子たちと
約束しとることは、
「嘘をつかない、挨拶をする、
 時間を守る」。

これだけは守ってもらわんと
いけんってことで、
いつも言うてるんです。

この3つを徹底しとる
こともあって、
みんな近所の人たちから
可愛がってもらってますよ。


 ——中本忠子
  (特定非営利活動法人
   「食べて語ろう会」理事長)


◆『致知』最新号 インタビュー
「人間の真の優しさとは
 見返りを求めない心」より






「もし私がやめたらこの子らは
 誰が面倒見てくれるのか」

その思いで、生活費を切り詰め
貯金を切り崩しながら
子供たちを支えたことも
あったという中本さん。

そんな中本さんが気づいた
「人生で本当に大切な心構え」とは。

続きは『致知』最新号で
お読みいただけます。


◎『致知』最新号(5月号)の
  特集テーマは「その時 どう動く」



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