極めることを不可能にする心理とは?
世阿弥(ぜあみ)は「猿楽(現代の能)」を大成させました。
その世阿弥がのこした「風姿花伝」よりご紹介させていただきます。
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どんな滑稽な役者であっても、もしその演技によいところを見つけたら、上手な人でもそれを真似るべきです。
これは道を極めるための、第一の方法でしょう。
世の中には、もしよいところを見つけても、自分より下手な人間であれば、その技術を取り入れてはいけないように考える常識があります。
ただ、そうした狭い心に縛られているのでは、どうあっても自分の欠点を知ることはできなくなります。
これは能において、「極めることを不可能にする心理」です。
また下手な役者も、もし上手な役者の悪いところに気づけば、「上手な人にも欠点があるのだな。だとすると、初心者の自分であれば、さぞや欠点は多いのだろうな」と考え、そのことに恐怖を抱き、他人に自分の芸のことを尋ね、芸に工夫を凝らすようになっていくでしょう。
稽古にもいよいよ励むようになり、他の技術はすぐに上達していきます。
これをやらず、「上手い役者かもしれないが、オレはあんなふうにおかしな演技はしないぞ」と、自分のことを棚に上げて慢心するばかり。
自分のよいところすら本当にわかっていない役者とは、だいたいこのようなものなのです。
自分のよいところを知らないと、悪いところも「よい」と思ってしまいます。
この状態だと、どんなに年数を経ても、能の腕は上がりません。
下手な人の心のうちとは、こういうものでしょう。
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風姿花伝
世阿弥 著
夏川 賀央 訳
致知出版社より
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自分を知ることの大切さを説いています。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とは孫子の言葉ですが、まさに敵だけでなく自分を知ることが大切だということです。
また、世阿弥は「初心忘るべからず」という言葉ものこしました。
この言葉は、多くの人が間違えて捉えているように思います。
初めの頃の「やるぞ!」っていう意気込みや「志」、気持ちを忘れないように・・・ではないそうです。
世阿弥が言った本質は、最初の頃の「未熟な自分」、「初心者の頃のみっともない自分」を折にふれて思い出すことにより、
「あのみじめな状態には戻りたくない」と思うことでさらに精進できるのだ、と世阿弥は説いています。
芸の未熟な自分をも支えてくれた人達が大勢いるのです。
自分で自分を見つめ直し、未熟な自分を支えてくれた人達に少しでも恩を返せるように精進し、いつまでも謙虚でいなさい!ということです。
この気持ちが、自分を磨き高めていくのでしょうね(^^♪
※魂が震える話より
シェアさせていただきました。
押忍
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