元マイクロソフト社長、成毛眞氏の心に響く言葉より…
私たちは、もはやだれもアマゾンと無関係に暮らすことはできない。
こう言ったら、言い過ぎだと思われるだろうか。
しかし、「自分はアマゾンでは買い物をしない」という人も関係ない。
サービスを直接利用するしないにかかわらず、社会のあちこちにアマゾンは確実に浸透しているからだ。
アマゾンが秘密主義なのは有名な話である。
誰もにとって、これほど身近になりながら、アマゾンはその全貌をつかませない。
アマゾンのビジネスは、経営学の革命だと断言できる。
10年後には、必ず経営学の教科書に載るような、エポックメイキングな存在である。
「ネットとリアルの境界」をなくした最初の存在として、未来に残り続けていくだろう。
アマゾンには、新しいビジネスが詰まっている。
ビジネスモデル、キャッシュフロー、AI技術…。
アマゾンを知ることは、アマゾンの経営がわかることだけではない。
アマゾン一1社を押さえることで、主だった業界のことがわかり、そこで今何が起こっているのか、現代のビジネスマンが知っておくべき最新のビジネス感覚も身に着けることができるのだ。
アマゾンが営業を開始したのは1995年だ。
以来、爆発的な成長をつづけている。
まず、アマゾンの株価は、上場した時よりも1252倍に上昇している。
2015年6月から3年間の株価の推移を見てみると、アップル、グーグル、フェイスブックはそれぞれ2倍程上げたのだが、アマゾンだけは4倍も伸びた。
その株価を支えているのは「キャッシュフロー経営」である。
キャッシュフローとは、企業活動を通じて自由に使える現金のことだ。
普通、企業は、この中から設備投資をし、借金を返し、利益を計上する。
しかし、長期間、アマゾンは利益を計上せず、ほとんどを設備投資にばかり回した。
極論すると、アマゾンは毎年数千億円も費やして、超大型の物流倉庫や小売店を次々と建設しつづけたことになる。
また、アマゾンの資金で驚異的なのは、小売業界において突出したキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)だ。
このCCCが「打ち出の小槌」のようにお金を出す。
CCCとは顧客から代金を回収するまでの期間である。
なんと2017年12月のアマゾンのCCCはマイナス28.5日だった。
つまり、物を売る約30日前に手元に現金が入っているということだ。
同時期のウォールマートもコストコもCCCはプラスである。
アマゾンは売上が伸びれば伸びるほど、手元に入る資金が極大化するキャッシュマシーンなのだ。
逆にいうとアマゾンにとって成長することこそが生存のカギとなっているともいえる。
それは、アマゾンと競合する企業にとっては悪夢である。
自社のシェアと成長機会の双方を同時に失うことを意味するからだ。
しかし、これらの強みもアマゾンの一部分を語っているだけだ。
アマゾンの本当の強さは企業向けサービスにある。
アマゾンウェブサービス(AWS)とフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)がその両輪だ。
IT業界ではアマゾンは世界最大の、企業向けクラウドサービス提供会社として認識されている。
このAWSの営業利益は43億ドルである。
これは、アマゾンのどの事業よりも高い。
アマゾンは何で稼ぐ会社かと問われれば、クラウド事業と答えるのが妥当だろう。
この売上げが、また他の事業の設備投資に回されるのだ。
フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)も将来的に多くの企業にとって必須のサービスとなり、ライバルにとっては悪夢となるサービスだ。
このサービスが、アマゾンのケタ外れの品揃えと安さを作っている。
これは、アマゾンに出品する中小企業に「インフラ」を提供する。
中小企業ではとても用意できない倉庫、在庫管理、決済、配送、カスタマーサービスまでをアマゾンが代わってしてくれるのだ。
つまり、FBAを利用する出品業者は、自社製品をアマゾンの倉庫に送れば、もうほぼ何もしなくてもいい。
在庫管理をしてもらいながら、決済、配送まで任せることができる。
さらにはアマゾンで売らない商品すらも、アマゾンの物流網で送れるようにすらなっている。
ある個人が新しい商品を企画したとする。
その設計や製造を中国企業に任せ、販売と物流はアマゾンに任せるというような経営も可能だ。
たった一人で何百億というビジネスを起こすことすらできるようになる。
こういうことができるのがFBAなのだ。
もちろん物流もすごい。
FBAなどで揃えた大量の商品を消費者に届けるのが、アマゾンの最強の物流システムである。
一カ所の倉庫から毎日160万個もの商品を出荷できる。
アマゾンは、自前の空輸、海運手段を用意し、蓄積した買い物データをもとに、最適な商品のおすすめをする。
「今日買って、明日届く」物流は、アマゾンにとっての最大のサービスであり、他社が持てない武器だ。
アマゾンの特異性はその規模や構造だけではない。
ネット店舗で万引きはできない。
アマゾンにとって万引きロス率はゼロだ。
日本だけでもざっと年間300億円の利益が、リアルの店舗を持たないということだけで生まれていることになる。
また、アマゾンはオンライン通販だけではなく、リアルにも着々と進出している。
2017年には高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収した。
これによりアメリカを中心にカナダ、イギリスの一等地に約450ヵ所もの店舗を所有することになった。
さらには「アマゾンゴー」という無人店舗もはじまった。
いずれも単なる小売業に止まらず、ネットとリアルの境界を超えるアマゾンのサービス拠点となる。
数年以内に、アマゾンの商品はドローンで配達されることだろう。
ドローンの基地を空に作ることを計画し、特許まで出願している。
配達の際、人の姿はなく、ドローンがアマゾンの箱を目の前で降ろして、再び飛び立つ光景が目に浮かぶ。
アマゾンは、顧客の望みを叶えるために、テクノロジーでインフラを整えてきた。
いまや、AI、自動運転、顔認証や翻訳システムにまで投資している。
アマゾンの投資先を知れば、この先の世界がわかるといってもいい。
繰り返すが、アマゾンは「帝国」を築きつづある。
そして、アマゾンの今を知ることは、ビジネスの最先端を知ることであり、未来の社会を知ることとと同義なのだ。
『amazon』ダイヤモンド社
成毛氏は本書の中でこう語る。
『アマゾンのプライム会員は現時点で、アメリカで8500万人、日本で600万人おり、今後も増えていくと予想されている。
その他アジアやヨーロッパも含めると、全世界で1億人を超える。
ほぼ国家規模の人口である。
他の世界的ネットサービスと比べると、インスタグラムのユーザー数は10億人、フェイスブックは22億人であり、1億という数字は少なく感じるかもしれない。
しかし、アマゾンのプライム会員は、3900円~1万円の年会費を支払うロイヤリティを持ち、「リアルとネットの横断」を当たり前として享受しているコアユーザーたちだ。
それが1億人いるという事実は、デジタルで完結している他のサービスと単純に比較できない重みを持つ。
これらの人々に対して、アマゾンは新しいサービスを提供し続け、あらゆる業種の常識を塗り替えていくだろう。
すでにアマゾンは、リアルで行われていた買い物、つまり、食品や日用品を取り扱う小売の常識を変えた。
アマゾンは小売事業者への融資の常識も変えた。
今後は銀行をつくり、金融の常識も変えるだろう。
そして、アマゾン最大の強みである物流は、リアルとネットの境目を失くし、国と国の境目すらあいまいにしつつある。
すべてを押さえた時、立ち向かえる企業は存在せず、国家という枠組みでも捉えきれない存在になるだろう』
CCCがマイナスの企業は他にもいくつかある。
アップルもその一つだ。
スティーブ・ジョブズがCEOに復帰したときは、CCCは60日程度だった。
その後、ティム・クックをスカウトし、3年後にはマイナス20日までに縮めたという。
アマゾンを通して…
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