トランスフォーメショナル・コーチ、梯谷幸司氏の心に響く言葉より…
病気がなかなか治らないのは、病気を敵と見なしているケース以外に、病気によってせっかく手に入れたものを失いたくないというケースもあります。
たとえば、病気になったことで、「親やパートナー、子どもがやさしく接してくれるようになった」、病気であることで、「親の介護や会社のやりたくない仕事から解放された」というような状況です。
病気が治ってしまうと、こうした居心地のよい関係性や状況を失いかねません。
その喪失に対する無意識の恐れから、表の意識では、「病気を治したい」「健康になりたい」と思っていても、無意識のレベルでは、「病気が治っては困る」と判断しているのです。
つまり本人が「やりたくて」病気をやっているわけです。
こうなると、いつまでたっても病気は治りません。
本気で病気をやめるには、病気が治ることで好ましい関係性や状況を失う覚悟を本人ができるか否かが重要です。
病気によってつなぎ留めていた喜ばしい関係、病気が理由で手に入った快適な環境…。
そうした心地よさを手放す決断ができるかが、カギを握るのです。
そもそも病気になっているということは、好ましい関係性や状況と感じていることが、実は、その人本来の生きる目的や本当の自分からズレている、ということです。
そこにしがみついたところで、真の幸福感は得られません。
そのことがわかってくると、クライアントたちは変化しはじめます。
結果として、病気を長引かせている原因だった関係性や状況を手放すことを、受け入れられるようになるのです。
それにともない、病気もだんだんと消えていきます。
末期の乳がんになったクライアント(女性・20代)のケースです。
彼女の夫は、彼女の友達と恋愛関係になり、いつしかその女性と半同棲するまでの仲へと進展。
家にもときどきしか帰ってこなくなったといいます。
そんなとき、彼女は乳がんを発症します。
検査で見つかったときには、ステージ4まで進行していました。
彼女は私の存在を知り、セッションを受けはじめたのですが、私はスタート時点で彼女に次のように言いました。
「ご主人と今すぐ別れてください。そうしないと、がんをやめることはできません」
なぜなら、最初に話を聞いた瞬間、彼女は乳がんという病気をやっている原因が夫との関係にあると感じたからです。
つまり彼女は、自分から気持ちの離れた夫を取り戻すために、乳がんをやりはじめたのです。
そして、本気で乳がんをやめるには、夫との関係を断ち切る以外に方法はなかったのです。
彼女は私のこの提案を受け入れ、夫と暮らしていた家を出て、一人暮らしをはじめました。
私とのセッションを通じて、自分にとって本当の生きる目的は何かを彼女は探りつづけました。
その目的が徐々に見えてくるなかで、自分の生きる目的に向かって生きていくのに、この夫にこだわりつづけて時間を無駄にするわけにはいかない、と彼女はようやく気づいたのです。
その後、彼女の乳がんは半減しました。
がんにともなうさまざまな不調も、順調に改善していっているそうです。
《病気であればこそ手に入る、「心地よいメリット」に甘えていませんか?》
『本当の自分に出会えば、病気は消えていく』三笠書房
梯谷氏は本書の中でこう語る。
『昔から、「病は気から」という言葉があります。
「気持ちの持ちようで、病気は重くも軽くもなる」という意味を表しています。
アメリカの精神分析学者であり、かつ医学博士のフランツ・アレクサンダーに、次のような言葉があります。
「生物学や医学の分野においては無視されているものの、心が体を支配するという事実は、われわれが日々の生活の中で体得しているもっとも基本的な事柄である」』
病気は体からのメッセージだと言われる。
そして、その体を支配しているのが心。
もし、病気になってしまったら、そこに何か意味があると考えてみる必要がある。
そのことによって(病気になって)、手に入れたものは何か、と。
「自分の本当の生きる目的は何か」を問うことにより、
さまざまなしがらみや執着を捨て、真の意味の健康を取り戻したい。
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