本日、二つ目の今日の言葉となります。
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本誌人気連載「日本の教育を取り戻す」から、
本日は文豪・夏目漱石が教師だった頃の
知られざる一面をご紹介します。
漱石の逸話から見えてくる
教師と生徒の関係とは——。
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「子弟関係はここから始まる」
占部賢志氏(中村学園大学教授)
※『致知』2015年8月号
連載「日本の教育を取り戻す」より
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その生徒は4年生でクラスの級長だった。
初めて教室に入ってきた漱石は赤い靴を履いていた。
だから、「赤靴」というあだ名がつくはずだったのだが、
結局つかなかったそうです。
なぜか。
それは漱石の学力に圧倒されたからだというのです。
漱石はすーっと入ってきて教壇に上がるや、
英語のテキストを開いて読み出した。
そしたら、その発音があまりに見事で
生徒たちはびっくりしたそうです。
その頃のテキストは数学でも何でも原書が多く、
日本人の先生はジャパニーズ・イングリッシュで読むわけです。
ところが、漱石はネイティブに劣らない発音で読む。
これに生徒は圧倒されるのです。
この授業では、続いて級長の彼が当てられ、
読んで訳すように命じられる。
そこで読んで訳したところ、
一カ所だけ訳が間違っていると指摘を受けた。
生徒は、この単語は予習のとき、
字引で調べたもので間違いはないはずですと答えると、
漱石は「では字引が間違っているから、
その字引を訂正するように」と応じたといいます。
こうして生徒たちのあいだには
今度の先生はすごいという評判が立ち、
「赤靴」というあだ名を引っ込めたというのです。
(中略)
これなんですよ。
「この先生すごい」と生徒が感じたところから、
師弟関係は始まるのです。
生徒が何一つ圧倒されるものがなくて、
教育が成り立つはずはありません。
そんなもの、形式は整っていても似非(えせ)教育ですね。
※現場の教師はいかにして教師としての
技量をのばしていけばよいのか——。
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致知より
押忍! 石黒康之
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