【勝海舟の言葉】
人はたれでも、自省自修の工夫が大切だ。
(中略)それから人物が出なければ、
世の中はとうてい治まらない。
しかし、人物は、かってにこしらえようと
いってもそれはいけない。
世間では、よく人材養成などと
いっているが、神武天皇以来、
はたしてたれが英雄をこしらえあげたか。
たれが豪傑を作り出したか。
人材というものが、そうかってに
製造せられるものなら造作はないが、
世の中のことは、そうはいかない。
人物になるとならないのとは、
ひっきょう自己の修養いかんにあるのだ。
【解説】
海舟は十二歳から二十歳過ぎまで
屈指の剣客嶋田虎之助(中津藩士)のもとで
剣術修行に励みました。
それも道場に寄宿して掃除や炊事など
日常の雑務をこなしながらです。
寒中ともなれば、島田師匠の指図に従い、
日中の稽古が済むと夕方からは
王子権現で夜稽古までしました。
まずは拝殿の礎石に座してしばし瞑目、
それから立って木剣を振り回す。
これを明け方まで五〜六回も繰り返し、
道場に帰ると朝稽古を始めるというのです。
昼間は雑事、夕方になれば
再び王子権現へ……と、
苛烈といっていい稽古ぶりでした。
たまに同門生が一緒についてきても、
寒さと睡魔に負けて近所の家で
眠ってしまう。
誰もついてくることはできなかったのです。
海舟には
「己を創り上げるのは己だ」という
意識がありました。
たとえ素晴らしい師についたとしても、
自ら学ぶ姿勢なくしては
身につくものもつきません。
いかに自己を修養せしめるかは
「自ら」にかかっているのです。
海舟が進んで薪水の労を
とったことを思えば、
骨身を惜しまぬこと、
人のいやがるようなことを率先して
行うことも修養の奥義といえるでしょう。
海舟に限らず世に知られる
英雄豪傑の伝記を紐解けば、
与えられるがままに
ただ学ぶにとどまらず、
積極的に教えを乞い、
そのうえで自分の骨肉とするがごとく
徹底的に修練しています。
それゆえ海舟は
「人物になるとならないのとは、
ひっきょう自己の修養いかんにあるのだ」
と断言しているのです。
誰に知られずとも自省自修の
努力をした人物は、いわゆる「面構え」、
相までもが変わってきます。
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目次
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第一章 根を養う
第二章 己を鍛錬せよ
第三章 とらわれない
第四章 闘わず、負けず
第五章 誠さえあれば
・自省自修の努力をせよ
・無心になれ
・言わせておけ
・忘れてしまえ
・究極の健康法
・礼をわきまえよ
・名誉を先に求めるな
・現世での評価にこだわるな
・公平な考えで人を見抜け
……etc
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