「牢番も感動させた吉田松陰の名言」
渡部昇一(上智大学名誉教授)
月刊『致知』2016年7月号より
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このことは致知出版社から出した
『人生を創る言葉』にも書いていますが、
例えば、吉田松陰は海外密航を企てて
米艦に乗り込み、
失敗して牢に入りますよね。
その時、牢番に
「書物を貸してほしい」
と頼みます。牢番が驚いて、
「どうせ重いお仕置きになるんだから、
何も檻の中で勉強しなくても」
と返すと、松陰はこう言うんです。
「凡そ人一日この世にあれば、
一日の食を喰らい、一日の衣を着、
一日の家に居る。
なんぞ一日の学問、
一日の事業を励まざらんや」
(人間というものは
一日この世に生きておれば、
一日の食物を食らい、一日の衣を着、
一日の家に住む。
それであるから、一日の学問、
一日の事業を励んで、天地万物への
ご恩を報じなければならない)
牢番はこの言葉に感心し、
松陰に本を与えました。
刑に処せられる前にあっても、
松陰は勉強をやめなかったばかりか、
一緒に牢に入っていた金子重輔に
「きょうこの時の読書こそ、
本当の学問であるぞ」
と言っているんです。
西郷隆盛も藩主の父・島津久光の逆鱗に
触れて沖永良部島に流された時、
戸も壁もない吹きさらしの
牢獄の中にありながら、
三つの行李いっぱいに古典を詰め込み、
それらを精読している。
ですから、不遇の時に
打ちひしがれることなく、
自己修養に没頭することが
いかに大事かということです。
致知出版社様メルマガよりシェアさせて頂きました。
押忍!
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