プロフィール

2016年6月22日水曜日

「仕事の根本は可愛がられること」


  道場六三郎(銀座ろくさん亭主人)

 月刊『致知』2016年7月号より
http://www.chichi.co.jp/info/month_back

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地元の調理師会の会長さんに
頼んで紹介状を書いてもらい、
その方の弟分が経営する東京・銀座の
「くろかべ」という日本料理店で
働くことになりました。

母親としては、周りから嫌われたり、
いじめに遭ったりすることが
一番心配だったのでしょう。

家を出る私に、
「六ちゃん、人に可愛がって
 もらえるようにせないかん」
と言葉を掛けてくれました。

実際、「くろかべ」に籍を置いていた
一年余りの間、店の親父さんや先輩、
お客様から随分可愛がられましたが、
それはひとえに両親の教育のおかげです。

両親は浄土真宗の信仰に篤く、
事あるごとに礼儀や作法、
人としての生き方を
説いてくれました。

両親から受けた教えの数々は、
紛れもなく私の財産となっています。


「何も分からないうちは
 我を出してはいけない。

 鴨居と障子がうまく組み合わさって
 スムーズに開け閉めができる。

 それが合わなくなれば、
 障子の枠を削る。

 上の鴨居を削る人はいない。
 だから、鴨居がお店のご主人で、
 六ちゃんは障子だ。

 我を削っていくのが
 道理というものだよ」


「親や先生のいる前では
 真面目にやって、
 見ていないと手を抜く人がいるけど、
 とにかく神仏は全部見てござる。

 だから、陰日向があってはいけない。
 どんな時も
 一所懸命やらなきゃいけないよ」

これらの言葉に従って、
朝一番に店に来て先輩の白衣と靴を
用意しておいたり、
ボロボロになった高下駄を修繕したり、
あるいは、親父さんから
「ガス台が汚いから綺麗にしろ」
と言われれば、翌朝四時まで
徹底的に磨いてピカピカにしたり……。

どうやったら親父さんや先輩が
喜んでくれるかということを常に考え、
身を粉にして仕事に打ち込みました。

そうやっていると、思いがけず先輩が
料理のレシピノートを見せてくれたり、
新しい仕事を回してくれるようになり、
どんどん料理の腕を磨くことが
できたのです。

上の人から「あれをやれ、これをやれ」と
言ってもらえる存在になれば、
様々な仕事を経験でき、
使われながらにして
引き上げてもらうことができる。

ゆえに、仕事をする上で最も大事なのは
「可愛がられる人間、
 使われやすい人間になること」
に他なりません。




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押忍!





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