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千 玄室(茶道裏千家前家元)
※『致知』2017年12月号【最新号】
※連載「巻頭の言葉」P4
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中世末(1577)に来日したキリスト教宣教師ジョアン・ロドリゲスは、
堺で茶の湯に接し驚いたと、
いまもバチカンの図書室にある『日本教会史』に述べている。
小さな茶の家、それは市中の山居であり、まるで隠者の家の風を表している。
茶の湯は、あらゆる人を温和にさせ身分の上下なく、謹んで椀を主と客で楽しむ。
床の飾りに野の花の一輪、そこには自然とも一体と感じられる雰囲気があった。
祈りに近い環境であると。
多くのバテレンが千利休に茶の湯を習い、キリストの教えを広げた。
禅宗を背景とする茶の湯がキリスト教と一体になり、
いわば東西文化の交流の基をつくったのである。
利休の茶はあらゆる宗教のカタルシス(受肉)の如きで、
茶室の小さな入り口は狭き門であり、
その門をくぐるためには階級も何もない裸の人間にならなくてはならない。
武家はすべて帯刀を外し、扇子一本だけの丸腰で茶室に入る。
「和」、即ち平和をつくるのがこの茶室であった。
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