プロフィール

2017年11月23日木曜日

心がけ

名料理人たちが
若い頃から心がけていたこと

 奥田政行(「アルケッチャーノ」オーナーシェフ)
×笠原将弘(「賛否両論」店主)

………………………………………


【奥田】

私も高卒ですぐに現場に入りましたから、
調理師学校卒には負けないぞ、と思っていました。

【笠原】

もちろん、最初は僕だけ何もできませんから、
大きな声で返事をすること、
掃除や鍋磨きをさせたら笠原が一番綺麗だぞ、
と言われることを意識しました。

あと、買い物とか得意だったんですよ。

小さい頃からおつかいを頼まれてきましたが、
うちの親父は無駄や効率が悪いのをすごく嫌って、
「商店街をこういう順番で行けば一回で済むだろう」
とか、うるさかったんですよ(笑)。

だから修業時代もそういうことを意識して、
買い物に行っても最初に重いものを買うと大変だから、
このルートで回ると一番効率がいいなとか、
品切れの時はどの店に同じ物が置いてあるかを
覚えておく。

あとは、帰る前に電話を入れて
「これから帰りますが、追加はありますか?」
と確認する。

そうすると、先輩に
「あいつ、気が利くな」と思われるじゃないですか。


【奥田】

私も全く同じで、休憩時間に鍋磨きを終わらせておくとか、
ゴミ捨てに行ったら一番早く帰ってくるとか、
まずは先輩から頼りにされる後輩になろうと思いました。
頼りになれば、先輩がそばに置いておきたくなりますから。


【笠原】

「これやっておけよ」と言われた仕事を、
先輩が思う倍のスピードで終わらせると、
「じゃあ、これもやるか?」となりますよね。

あるいは、大量の弁当の注文が入っているとか、
明らかにいつもとは仕事量が違う日が
あるじゃないですか。

これは先輩たちだけじゃ間に合わないなっていう、
そのチャンスに気づけるかどうか。


【奥田】

そうそう。そういう時は前の晩から戦闘態勢で、
絶対に朝早く行って、先輩が来る前に
素材の下処理を終わらせておくと。


【笠原】

そういう準備をしておけば、
目が回るくらい忙しい時に
「手伝わせてもらえますか」と申し出たら、
先輩もやらせてくれますよ。

ただ、その時に
「笠原だったらやらせてもいいかな」と
思われる仕事ぶりを、常日頃から
心掛けておくことですね。

中にはおいしい仕事だけやりたがる奴もいるんですよ。

そうすると
「おまえ、そんなことより
 あそこの掃除ができてねえよ」

と怒られるわけです。


【奥田】

私はいつも

「やりたいことの数値が百だとすると、
やりたくないこと、人が嫌がることを三百やる」

と自分に言い聞かせています。
そうすると、いつの間にかやりたいことを
実現するためのスタートラインに立てる。
これは修業時代からの実感です。


━━━━━━━━━━━━

『生き方入門』

 監修・藤尾秀昭 (月刊『致知』編集長)



致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。


押忍!

0 件のコメント:

コメントを投稿