角田陽一郎氏の心に響く言葉より…
尊敬する明石家さんまさんとは、出会ってからかれこれ25年になります。
そのためか僕はよく、人から「さんまさんって恐い人ですか」と聞かれるのですが、そういう時には「めちゃくちゃいい人だけど、めちゃくちゃ恐い」と答えるようにしています。
いい人であることに説明は要りませんね。
では、なぜ恐いのか。
それは、ご自分の名前で番組を背負(しょ)ってるからです。
さんまさんは1992年から2014年まで、TBSの『さんまのSUPERからくりTV』という番組をやられていましたが、もし「 『さんまのSUPERからくりTV』がつまらない」となると、「さんまさん自身がつまらない」ことになってしまいます。
自分がMCの番組をやる、つまり番組を背負うのは、他の番組にゲスト出演する時とはわけが違う。
だから番組作りにはものすごく厳しく、その厳しさが時に「恐い」という印象を周囲に抱かせるのです。
自分の名前で勝負しているから、あらゆる瞬間に必死。
当然、番組への理解力もコミット力も半端ない。
それがおろそかになったが最後、番組がつまらなくなり、自分の名前に傷がつく。
さんまさんは、そんな危機感から番組作りに厳しくなり、同時にそうすることでご自分の運も上げ続けています。
つまり、「運を上げる」とは「自分の名前で勝負すること」。
それは、あらゆる物事を「自分ごと化」することと同義です。
僕は、世の中で一番時間を守らないのは普通のサラリーマンだと思っています。
僕にも経験がありますが、たとえば取引先との会議。
前々から朝10時からだと決まっているにもかかわらず、「ちょっと別件で部長は遅れておりまして」「担当がちょっと風邪で来られません」などと、悪びれもせず言われたりします。
タレントさんだったら、「ちょっと別件」や「ちょっと風邪」で来ないなんてことは、絶対にありません。
よく番組などでタレントの遅刻がネタになっていますが、実は芸能界ほど時間を守る業界はありません。
なぜならタレントたちは皆、自分の名前で勝負しているからです。
一回でも遅刻をすれば評判は落ちますし、多くのスタッフに迷惑がかかる。
本当に仕事にならないのです。
サラリーマンが遅刻するのは、自分の名前で仕事をしていないから。
名刺に刷られている会社名に甘えて仕事をしているだけです。
この甘えは、相手に無理を押し付けざるをえない時の一言にも現れます。
「すみません、こっちも仕事なんで」「一応、そういう決まりでして」という人はどこか責任を所属組織のせいにしていて、自分の名前で仕事をしていません。
若い人が「偉い大人の事情で…」などと言って、何かができないことを言い訳にするのも同じです。
自分の名前で仕事をしていれば、「僕の顔に免じて許してください」という言葉が出てくるはず。
自分の名前で勝負をしていないうちは、運が開きません。
会社にしても自分の名前で仕事をしている人には運が訪れますし、芸能界でも事務所の権威を振りかざして仕事をしている人からは、運が逃げていくのです。
『運の技術』あさ出版
「自分ごと」の反対は「他人(ひと)ごと」。
「ひとごと」とは、「自分とは関係ない」とか、「どうでもいい」、「知ったことではない」ということ。
その究極は、無視するということ。
よそよそしくて、冷たくて、思いやりを感じられない言葉だ。
その反対の、「自分ごと」とは、まるで自分のことのように考え、行動することであり、当事者意識を持つことだ。
主体性を持ち、責任感を持って、泣いたり笑ったり、まるで自分のことであるかのように考える。
SNSで名前を出したり、顔をだしたりすることは、実はタレントと同じように自分の言動に責任を持つということ。
その反対の匿名(とくめい)での投稿は、責任のない感情的な発言や、ひどい誹謗(ひぼう)中傷など、単なるストレスの発散になりやすい。
そして、名前や顔を出したら、到底言えないような過激なことをつぶやくことが多い。
「運を上げる」とは「自分の名前で勝負すること」。
あらゆる物事を「自分ごと化」できる人でありたい。
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