プロフィール

2016年1月22日金曜日

◆ 名店「銀座久兵衛」の原点 ◆


今田洋輔(「銀座久兵衛」二代目店主)
    ×
早乙女哲哉(天ぷら「みかわ是山居」主人)

※『致知』2016年2月号P10
※特集「一生一事一貫」

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【今田】
昔、築地に「とんぼ」という
大きな料亭がありまして、
親父がまだ田舎から出てきて
間もない頃にそこで寿司を
握っていましてね。

銀行と企業の懇談会の時に、
先輩の一人が常連さんに
言われて歌舞伎の声色を
やらされていたんですが、
親父は何の芸もない男で、
「酒だったら何杯でも飲んでやる」と、
大きな鉢にドボドボ酒を入れて
一気にカーッと飲んだらしいんです。


そうしたら、そこにいた
浅野セメントの浅野総一郎様が、
面白い男だと気に入ってくださって、
「店を出したらどうだ」と勧められて
昭和10年に「久兵衛」を始めたんです。

ありがたいことに、
北大路魯山人先生や
志賀直哉先生といった文化人や、
吉田茂先生をはじめとする
政財界の方など、たくさんの方々に
ご贔屓にしていただいてきました。


【早乙女】
ご自分でご覧になって、
先代の仕事ぶりはいかがでしたか。


【今田】
やっぱり身を粉にして働くことを
少しも厭わないというか、
商売というのは体を
張ってやるものだということを、
父の働く姿から学びましたね。

酒飲みでしたから、
私が仕事を覚える前に
死んじゃうんじゃないかなんて
心配したこともありますが、
おかげさまで74近くまで
生きてくれました。


普段は私と目を合わせて
話をすることもほとんどないような
シャイな人でしたけれども、
お店に出るとそれを感じさせないんです。

まぁお酒好きだったものですから、
お酒の力を借りながらお客様と
丁々発止をするんですね。

普段から偉い方に対しても
あんまり気にしないでものを
言うほうだったし、飲ませればさらに
面白くなるというんで評判だったんです。


【早乙女】
やっぱり魅力っていうのは、
その人にロマンがあるか
どうかじゃないですか。


夢ですよ。


夢を持ってる人のところに
人が集まって来るんです。


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致知出版社様メルマガより




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