プロフィール

2016年3月6日日曜日

◆ 誠意を尽くしたと言えるか ◆

鍵山 秀三郎(日本を美しくする会相談役)

※『致知』2008年8月号
※連載「巻頭の言葉」

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一所懸命、一心不乱──


創業時の私は、ただただ夢中でした。

人が10時間働けば、
私は14時間、16時間働きました。
24時間寝ずに働くこともよくありました。


当時は会社の車に乗り、
しばしば遠方まで
仕事に出向いていましたが、
旅館に泊まる時間もお金もなく、
いつも夜を徹して走り続けるか、
車中で夜を明かしていました。


いまのようにエアコンのない時代です。


夏は窓を閉めて寝ると
蒸し風呂のように暑く、
開ければ体中蚊に刺されたものです。

冬は骨が凍るくらいまで冷え込み、
目が覚めて体を起こすとポキンと
折れるのではないかと思うくらいでした。


そうした中で、先方が何を
望まれているのかを必死で探り、
それに懸命にお応えして
信頼を積み重ねてまいりました。

自分の体力、心を尽くせるだけ尽くして、
なんとか毎日を乗り越えていた私には、
もっと上手くやってやろうとか、
もっと楽な方法はないか、などと
考える余地はまったくありませんでした。


よく"あの手、この手"といいますが、
人間には二本しか手はありません。

与えられた条件を生かして
やっていくしかないのです。

そうして至誠を尽くしていけば、
必ず見えなかったものが見えてきます。

どっちが東か西かも
分からないような真っ暗闇の中でも、
いつか薄明かりが見えてくるものなのです。


これは私の体験から確信を持って言えます。


もし何も見えてこないとしたら、
まだまだ誠意の尽くし方が
足りないと考えるべきです。

自分はこんなにやっているのに、
などと思っているうちはまだ駄目なのです。


この厳しい競争の時代に、
そんな精神主義は通らないと
考える人も多いことでしょう。

しかし、昔から競争のない
時代はありません。


実際に私自身も、
大変な競争の中を歩んでまいりました。


他社が目にも留めない
わずかな隙間に目を向け、
それが少しでも広がるように努力を重ね、
道をひらいてきたのです。




致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。


押忍!

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