小林正観さんの心に響く言葉より…
子どもが犯罪を起こすと「もっと子どもと向き合った方がいい」と言う人がいますが、私は反対の意見です。
子どもとは向き合わないこと。
子どもは、「親の背中を見て育つ」ものらしい。
親が子どもと向き合い、粗探しをしながら育てると、その結果、子どもがひねくれてきます。
父親だから、母親だからといって、子どもを追い詰めていいわけではありません。
子どもは、親が育てるのではなく、「勝手に育つもの」です。
ただし、勝手に育つといっても、条件があります。
その条件とは、母親が楽しそうに生きていること。
それも、楽しいことがあったから楽しいと口にするよりも、「ありとあらゆることが楽しい」ということを、「行動」で知らせるようにします。
「目の前のすべてのことを楽しむことができる」という物事のとらえ方を、実例として見せること。
子どもと面と向かわないで、自分が楽しそうに、明るく楽しくやっていると、子どもも楽しさを求めるようになります。
ある母親が、「晴れた日は、紫外線対策をしないといけないのが嫌だ」と口にしていた。
雨が降れば降ったで、今度は「洗濯ものが乾かないから嫌だ」と言っていた。
母親が、愚痴や泣き言ばかり言っていると、それを聞いた子どもも、やはりそればかりやり続けることになります。
そうではなくて、「晴れた日は洗濯ものが乾く。雨の日は紫外線対策をしなくていい」と考えてみてはどうでしょうか。
現象は変わっていないけれども、今まで否定していたことを、肯定的に考えるようにする。
子どもには、「なんでも肯定すること」を教え込んだ方がいいと思います。
父親も、同様です。
父親が愚痴や泣き言ばかり言っていると、子どもは、父親を真似し始めるでしょう。
10年くらい前のことですが、3家族で、ある宿に泊まりに行ったことがあります。
宿から戻ったあと、泊まりにきていた子どもの1人が、こんなことを言っていたそうです。
「僕は、慶子ちゃん(私の娘)のお父さんを尊敬する。すごい人だ」と。
なんでもその理由というのが「慶子ちゃんのお父さんは、僕の前で一度も横にならなかった」からだそうです。
その子にとって、「父親というのは、いつも横になっているもの」だと思っていたのでしょう。
ところが横にならないお父さんがいるんだとわかった。
そのことが尊敬の気持ちにつながったのです。
お父さんが見せている姿というのは、それほど影響があるのです。
自分が楽しそうに、幸せそうにいろいろなことを嬉々としてやっている、そういう親であれば、「子どもは「どうしてそんなに楽しそうなの」「何をそんなに毎日ニコニコしているの」というふうに、興味を持って近づいてくることでしょう。
そうなればしめたもの。
自分が「こんなに世の中にはおもしろいものがあるのよ」と言っていれば、子どもはしだいにそういうものに興味を持つようになります。
親が何も勉強せず、ただ子どもに口うるさいだけの存在であるならば、おそらく子どもは向上したり、自分の人格を磨いたりする方向にはいかないでしょう。
《子どもは親の「言っていること」ではなく「行動」を見ている。親が楽しそうにやっていることに、子どもは興味を持っていく》
『100%幸せな1%の人々』中経出版
これは、親の子どもに対する接し方だけを言っているのではない。
上司が部下に、教師が生徒に、先輩が後輩に、もっと言うなら、友人に接する方法も同じだ。
つまり、人間関係すべてに言えること。
良寛禅師のこんな話がある。
『良寛和尚と親交のあった解良栄重(けらよししげ)という人が江戸時代に良寛和尚の逸話をまとめた『良寛禅師奇話』を記しています。
良寛和尚が解良栄重の家に宿泊したときのこと。
良寛和尚が家にいるだけで、上の者も下の者も、そこにいるすべての人たちが和やかで温かな雰囲気に満たされたそうです。
そして、良寛和尚が帰ってからも、その雰囲気はしばらく続きました。
良寛和尚は宿泊中に、説教をすることも、道徳を説くことも、悟りを語ることもありませんでした。
ときおり台所で焚き火をしたり、座禅をしたりして、ただゆっくりとしていただけ。
それでも、良寛和尚が身にまとった和やかな雰囲気から、人々は自然に教え導かれたのです。』(もうひとつの幸せ論・ダイヤモンド社)より
言葉で説得しようと思っても、人は変わらない。
変わらないので、もっと強い口調で怒鳴ったり威嚇したり、あるいは暴力を使ってまで変えようとする。
変わらない相手が悪いのだ、と。
人は、生きざまという「後ろ姿」を見るだけで、感化を受ける。
そこには言葉はいらない。
楽しそうに生きること。
面白がって生きること。
嬉々として勉強すること。
人をゆるすこと。
何事にも感謝して生きること。
そんな、生きざまという「後ろ姿」を見せることができる人でありたい。
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押忍
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