小林正観さんの心に響く言葉より…
十年間、うつ病で苦しんでいた人がやってきました。
少し話をしました。
うつ病で苦しんできたのはわかりますが、その人の口から出てくる言葉が、どれも暗い話です。
愚痴、泣き言、つらい話ばかりです。
職場へ行くと、ある人間とうまくいかない、怒鳴ったり怒ったりする人がいる、イライラさせる人がいる。
だから「もうやっていけない」と愚痴ばかりです。
「会社をもう、やめていいですか」と私に問いかけてきます。
「やめていいですか」という相談を受けると、私はいつも「やめれば…」と言います。
この人は半年ぐらいたつとまた別のところへ就職し、また私の顔を見て、「うまくいかなくて、もういやでいやでしょうがない。やめていいですか」と聞くのです。
私は「やめれば…」です。
結局彼は、自分の感性が非常に脆(もろ)く、弱いのです。
だから人間関係に耐えられない。
いやなことばかりが、神経に引っかかってくるから、あらゆることが、つらい、つらいとなります。
そこで私はこんな提案をしました。
今日から、口をついて出てくる言葉全部を「うたしやき」というものにしたらどうでしょうかと。
うれしい話・たのしい話・しあわせな話・やくに立つ話・きょうみぶかい話…それが「うたしやき」。
私は二十歳の頃から、「うたしやき」の話しかしないと決めてきました。
政治が悪いとか、経済が悪いとか、教育が悪いとか、環境問題がひどい…などと言って、頭のいい人はみんな世の中の不備をあげつらいます。
嬉しくて楽しい話の収集家である私は、自分にも他人にとっても楽しいので、旅先でお話をするにあたって、「うたしやき」の話だけをしてきました。
すると周りに人がだんだん集まってきて、もっと聞かせてもっと聞かせてということになりました。
そのほうが自分の人生が楽しいですよ、だからあなたも「うたしやき」だけを喋るようにしてみたらどうですか、とその人に言いました。
うつ病の人は、自らこう言いました。
「そういえばそうですね、私の発する言葉は、その八割が薬と病気とトラウマの話だった。口を開けばそういう話ばっかりだった。楽しい話なんかまったくしたことがなかった。これからは、うたしやきを心がけます」と。
その話をしてから一週間、その人は、一回も否定的な会話をしなかった。
話題を全部「うたしやき」にした。
その結果、食欲が出た、一人前食べられるようになった、買い物をするにもひとつ買うのに一時間かかっていたのに、一、二分で買えるようになったと言いました。
その人は自分ですこしわかった様子です。
暗い言葉ばかりだったと気がついた様子です。
もし家族関係、夫との関係、妻との関係、子どもとの関係、舅、姑の関係がよくないとか、職場で人間関係がうまくいかないという場合、今これから、この瞬間から「うたしやき」に切り替えると、その関係がガラッと変わります。
愚痴や泣き言ばかり言って言った人が、「午前中ちょっと散歩してきたんですけど、桜がすごくきれいでした」というような話になってくると、へえ、そんな話ができるようになったのだとその人の周りに明るい雰囲気が生まれます。
服の色も明るい色になります。
「うたしやき」の話題だけで、人生が変わります。
人生を楽に楽しく生きましょう。
『淡々と生きる』風雲舎
「うたしやき」の反対の言葉は、「悲しい・切ない」「苦しい・辛い」「不幸」「無駄・有害である」「つまらない」。
この手の話を好きな人がいるとするなら、よっぽどひねくれた人。
聞けば聞くほど暗くなってしまう。
人間であるなら、ほとんどの人は、「うたしやき」な話が大好き。
なぜなら、「うたしやき」の話を聞くと、明るくなって、元気が出て、みんな笑顔になるから。
毎日、「うたしやき」な話をしようと思うと、自然と潜在意識が「うたしやき」なことを探し始める。
「うたしやき」なことに焦点を当てると、人生もまた明るくなる。
まさに、アメリカで開発された「グッド・アンド・ニュー」と同じ手法だ。
「グッド・アンド・ニュー(Good & New)」とは、米国の教育学者ピーター・クライン氏が提唱した、組織活性化の手法。
直近24時間以内の「良かったこと」もしくは「新しいこと」を朝礼や会議の前に発表する。
校内暴力が多発し、無法地帯となったアメリカの学校でこの「Good & New」を使うことにより、短期間で安全な環境に変えたことで有名になった。
どんなときも、「うたしやき」な話をする人でありたい。
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押忍!
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