2016年7月20日水曜日

「子供たちの「命」が教えてくれたこと」

 私が小学校教師になって初めて受け持ったサヤカ。
 彼女はクラスのリーダー的存在で、
 卒業後も年に何度か会っていました。

 ある日、23歳のサヤカは久々に
 私に会いに来てくれました。
 しかし、驚いたことにとても痩せていて、
 手首にはリストカットの痕があるのです。
 聞いてみると、彼女の周りで辛い出来事が相次ぎ、
 それを自分の責任と思って苦しんでいる様子でした。

「なんてことをしたの」
 私の一言にサヤカは一瞬ハッとした表情を浮かべました。
 きっと痛いほど自分で理由が分かっていたのでしょう。
 そのサヤカに私は言葉を続けました。

「サヤカ、命は一つしかないんだよ。
 大切な一つなんだよ。
 頑張るんだよ。
 頑張らなきゃ」

「分かっているよ、先生。
 私、分かっている。
 頑張るよ」

 そして別れ際、私はもう一度、言いました。

「サヤカ、頑張るんだよ」

 数か月後、私の元に悲しい報せが届きました。
 サヤカが大量の薬を服用して
 自らの命を絶ったというのです。
 サヤカが最後に会った大人が私だったと聞いた時は
 頭をハンマーで殴られたようでした。

 彼女はきっと、自分を受け入れてもらいたくて
 私に会いに来たに違いありません。

「よく頑張ってきたね」と、
 ただただ黙って抱きしめてほしかったはずです。
 にもかかわらず、私は「頑張ろう」
「命は一つしかない」
 という教科書どおりの言葉を使っていたのです。


 サヤカの死以来
「自分は何を子供たちに話してきたのだろう」
「1人の子供が救えなくて、
 多くの子が救えるわけがない」
 と自分を責めて責め続けました。

 教師としてだけでなく
 人間として自信を失いかけていました。


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 どん底の私を救ってくれたのが1本の映画でした。
 描かれていたのは夢を追い求めて
 力強く生きる人たちの姿。

 私は途中で涙が止まらなくなりました。
「もう一度夢を追いかけて生きてみたい」
 という思いが湧き上がってきたのです。


 私が6年3組の担任になったのは
 小豆島から帰って間もなくのことです。
 私はそれまで誰にも話さなかったサヤカのことを
 初めてクラスのみんなに話し、
「先生は二度と子供たちに
 サヤカのような思いをさせたくない」と訴えました。

 そして、何があっても目の前の子供たちを
 信じ続けよう、
 愛し抜こう、
 卒業式では32人全員をこの教室から
 笑顔で卒業させようと堅く誓ったのです。


 私はどんな子にも素晴らしい可能性が
 あることを知っています。

 教師に大切なのは、
 可能性をどこまで信じ切れるかです。
 信じ切っていれば子供たちは
 絶対に裏切ることはないのです。

 それはサヤカが命を懸けて教えてくれたことでした。
 だから私は亡くなったサヤカの分まで
 人生を生きようと思っています。

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押忍!

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