松下幸之助の経営哲学 ★
山下 俊彦(松下電気相談役)
※『致知』1989年8月号
※特集「いまが明日を開く」
───────────────────
幸之助さんは、利益というものについて、
非常に厳しい考え方をもっていました。
常に、いっていたのは、
「企業が社会に役立つ仕事をすれば、
社会から利益という形で還元される。
だから、社会に、役立っているかどうかは、
利益が上がっているかどうかみればいい」
ということです。
逆に、利益が上がらないことは
罪悪だといいます。
「多くの人を使い、多くの資材を使って
利益を上げないような無駄な仕事をして、
多くの人の努力を無駄にし、
資源を無駄にしているのは罪悪だ」
というわけです。
しかし、当時は、利益を出すというのは
決していいことではない、儲かるなら、
もっと値段を下げたらいいという
ような雰囲気がありました。
そういう時代の中で、はっきり
そういう考え方を打ち出しているところに、
あの人の非凡さがあります。
この点については、
おもしろい話が残っています。
創業間もないころ、近所に松下と
同じように電気屋を始めた人がいました。
結局、その人は会社を駄目にして
しまうのですが、数年後、
再会したときにその人が幸之助さんに、
「私も一所懸命仕事をしたが、
どうも思うようにいかなかった。
たまたま少しうまくいきかけると、
売った先が金をくれなかったり、
頼りにしていた工員が辞めたりして、
挫折してしまった。
同じように商売を始めた君が、
何の支障もなく発展していくのが、
不思議だ」
それに対して、幸之助さんは
こう答えています。
「君ほど熱心にやっていながら、
なお仕事が成功しないのが、
私には不思議だ。
商売というのは大小の差があっても
やっただけは成功するものだと思う。
よく世間では商売だから儲けるときも
あれば損するときもある、
得したり損したりしているうちに
成功していくというが、
自分はそうは思わない。
絶対に損をしてはいけないのである。
商売というのは真剣勝負と一緒だ。
首をはねたり、はねられたりするうちに
勝つというようなことはあり得ない。
活動すれば、それだけの成功が
得られなければならないのだ。
もし、それができなかったら、
それは環境でも、時宜でも、
運でも何でもない。
経営の進め方に当を得ない
ところがあるからだ。
それを『商売は時世時節で
得もあれば損もある』と考える
ところに根本の間違いがある。
商売というのは、不景気でもよし、
好景気であれば、なおよし
と考えなければいけない。
商売上手な人は、不景気に際して
かえって進展の基礎を固めるものだ」
このエピソードは幸之助さんの
企業経営というものに対する
厳しい姿勢をよく表していると思います。
山下 俊彦(松下電気相談役)
※『致知』1989年8月号
※特集「いまが明日を開く」
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幸之助さんは、利益というものについて、
非常に厳しい考え方をもっていました。
常に、いっていたのは、
「企業が社会に役立つ仕事をすれば、
社会から利益という形で還元される。
だから、社会に、役立っているかどうかは、
利益が上がっているかどうかみればいい」
ということです。
逆に、利益が上がらないことは
罪悪だといいます。
「多くの人を使い、多くの資材を使って
利益を上げないような無駄な仕事をして、
多くの人の努力を無駄にし、
資源を無駄にしているのは罪悪だ」
というわけです。
しかし、当時は、利益を出すというのは
決していいことではない、儲かるなら、
もっと値段を下げたらいいという
ような雰囲気がありました。
そういう時代の中で、はっきり
そういう考え方を打ち出しているところに、
あの人の非凡さがあります。
この点については、
おもしろい話が残っています。
創業間もないころ、近所に松下と
同じように電気屋を始めた人がいました。
結局、その人は会社を駄目にして
しまうのですが、数年後、
再会したときにその人が幸之助さんに、
「私も一所懸命仕事をしたが、
どうも思うようにいかなかった。
たまたま少しうまくいきかけると、
売った先が金をくれなかったり、
頼りにしていた工員が辞めたりして、
挫折してしまった。
同じように商売を始めた君が、
何の支障もなく発展していくのが、
不思議だ」
それに対して、幸之助さんは
こう答えています。
「君ほど熱心にやっていながら、
なお仕事が成功しないのが、
私には不思議だ。
商売というのは大小の差があっても
やっただけは成功するものだと思う。
よく世間では商売だから儲けるときも
あれば損するときもある、
得したり損したりしているうちに
成功していくというが、
自分はそうは思わない。
絶対に損をしてはいけないのである。
商売というのは真剣勝負と一緒だ。
首をはねたり、はねられたりするうちに
勝つというようなことはあり得ない。
活動すれば、それだけの成功が
得られなければならないのだ。
もし、それができなかったら、
それは環境でも、時宜でも、
運でも何でもない。
経営の進め方に当を得ない
ところがあるからだ。
それを『商売は時世時節で
得もあれば損もある』と考える
ところに根本の間違いがある。
商売というのは、不景気でもよし、
好景気であれば、なおよし
と考えなければいけない。
商売上手な人は、不景気に際して
かえって進展の基礎を固めるものだ」
このエピソードは幸之助さんの
企業経営というものに対する
厳しい姿勢をよく表していると思います。
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