【風が吹いていないときは、凧は揚がらない】
ライフネット生命会長、出口治明氏の心に響く言葉より…
《適切なときに適切な場所にいるいる人》
この世界は偶然の産物です。
そして、私たち一人ひとりの人生も、いろいろな偶然の積み重ねによってつくられていると言っていいでしょう。
歴史を知れば知るほど、偶然こそが「この世のリアル」だと確信します。
私たち人類・ホモサピエンスがこれまで生き残れたのも、偶然だったという説があります。
『そして最後にヒトが残った』(クライブ・フィンレイソン)という本によると、ネアンデルタール人が滅び、ホモサピエンスが生き残った理由は、「適応力」と「運」の違いにあったようです。
筋骨隆々で、森林での大型動物狩猟向きの体型をしていたネアンデルタール人は、当時、地球環境の寒冷乾燥化が進み、森林が縮小し、平原が広がりはじめる中で徐々に生きる場を失っていきます。
一方、しなやかで持久力に富む体を持つホモサピエンスは、平原での狩りにも対応でき、生き残ることができたそうです。
つまり、たまたま平原が広がりはじめる時期に、たまたま平原に適応できる体をホモサピエンスは持っていた。
だから生き残れた。
まさにホモサピエンスは運がよかったのです。
逆に、ネアンデルタール人が絶滅してしまったのは、たまたま運が悪かっただけとも言えるのです。
「運がいい」というのは、フィンレイソンが指摘しているように、「適切なときに適切な場所にいる」ことなのです。
この世は偶然の産物だということに、あらためて気づかされます。
ウイーン生まれのユダヤ系の宗教学者に、マルティン・ブーバーという人がいます。
そのブーバーが、代表作『我と汝・対話』で書いているのが、「すべての真の生とは出会いである」という言葉です。
つまり、私たちの人生は、つまるところ、すべて出合いである、と。
そうした出合いを通して、人生はどんどん変化していく、と。
関係性を重視したブーバーならではの言葉です。
私たちの人生は、ブーバーの言うように、そのときどきの出合いによって変化し続けていきます。
そうしたいわば川の流れに身を任せる生き方が一番いいと私は思っています。
変化を受け入れ、川の流れのままに流されて生きていく。
なぜなら、人間の力では、そのときどきの流れを変えることは難しいからです。
そのことを私は、しばしば凧揚(たこあ)げにたとえています。
「風が吹いていないときは、凧は揚がらない」
凧揚げしようとしても、その場所に風が吹いていなければ、どんなに必死になって走っても、あるいは、ものすごくよくできた高性能の凧であっても、揚がってはくれません。
一方、その場所にいい風が吹いていれば、こちらがそれほどがんばらなくても、凧はスイスイ飛んでくれます。
人生もこれと同じです。
風が吹いていないときは、何をやってもダメだし、逆に、風が吹きはじめたら、何をやってもたいていうまくいく。
だから、今は風が吹いていない時期だと思ったら、ジタバタとムダな抵抗はしないで、淡々と過ごしていく。
ただし、いつ風が吹くかは誰にもわからないので、風がいつ吹いても全力で走れるよう平素から準備をしておくことが大切です。
場合によっては、風がそのままずっと長い間吹かないこともあります。
ネアンデルタール人がが絶滅してしまったように、人生にはそういう残酷な一面もあるのです。
とはいっても、「まったく人生に希望が持てない」などと暗澹たる気持ちにはならないでください。
風が吹いていなくても、その中で人生を楽しめばいいのです。
時間はたっぷりあるので、いろいろなことができます。
逆に風が吹きはじめたら、やることがたくさん出てきてそんな暇もなくなりますから。
《「偶然」を大切にする人を運がいいと呼ぶ》
『人生の教養が身につく名言集』三笠書房
「風車、風が吹くまで昼寝かな」
という、第三十二代の首相、広田弘毅の言葉だ。
広田弘毅は外務省の欧米局長のときに後の首相、幣原(しではら)喜重郎に嫌われて人事異動でオランダ公使に飛ばされた。
オランダは風車の国。
その時、自分の心境を歌ったのがこの句。
広田弘毅は、従容(しょうよう)の人と言われる。
従容とは、どんな危急存亡の時でも、ゆったりとして慌てたり騒いだりしないことであり、泰然自若(たいぜんじじゃく)としていること。
安岡正篤師は、「人は落ちぶれたときにどう動くかで、本物かどうかわかる。やけになったり、見苦しくジタバタするのか、はたまた、従容(しょうよう)としてそれを受けいれるのか。何をしたかではなく、何をしなかったかを観る」という。
「風が吹いていないときは、凧は揚がらない」
「偶然」を大切にする人、それが「適切なときに適切な場所にいるいる人」。
どんなときもジタバタせずに人生を楽しめる人でありたい。
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ライフネット生命会長、出口治明氏の心に響く言葉より…
《適切なときに適切な場所にいるいる人》
この世界は偶然の産物です。
そして、私たち一人ひとりの人生も、いろいろな偶然の積み重ねによってつくられていると言っていいでしょう。
歴史を知れば知るほど、偶然こそが「この世のリアル」だと確信します。
私たち人類・ホモサピエンスがこれまで生き残れたのも、偶然だったという説があります。
『そして最後にヒトが残った』(クライブ・フィンレイソン)という本によると、ネアンデルタール人が滅び、ホモサピエンスが生き残った理由は、「適応力」と「運」の違いにあったようです。
筋骨隆々で、森林での大型動物狩猟向きの体型をしていたネアンデルタール人は、当時、地球環境の寒冷乾燥化が進み、森林が縮小し、平原が広がりはじめる中で徐々に生きる場を失っていきます。
一方、しなやかで持久力に富む体を持つホモサピエンスは、平原での狩りにも対応でき、生き残ることができたそうです。
つまり、たまたま平原が広がりはじめる時期に、たまたま平原に適応できる体をホモサピエンスは持っていた。
だから生き残れた。
まさにホモサピエンスは運がよかったのです。
逆に、ネアンデルタール人が絶滅してしまったのは、たまたま運が悪かっただけとも言えるのです。
「運がいい」というのは、フィンレイソンが指摘しているように、「適切なときに適切な場所にいる」ことなのです。
この世は偶然の産物だということに、あらためて気づかされます。
ウイーン生まれのユダヤ系の宗教学者に、マルティン・ブーバーという人がいます。
そのブーバーが、代表作『我と汝・対話』で書いているのが、「すべての真の生とは出会いである」という言葉です。
つまり、私たちの人生は、つまるところ、すべて出合いである、と。
そうした出合いを通して、人生はどんどん変化していく、と。
関係性を重視したブーバーならではの言葉です。
私たちの人生は、ブーバーの言うように、そのときどきの出合いによって変化し続けていきます。
そうしたいわば川の流れに身を任せる生き方が一番いいと私は思っています。
変化を受け入れ、川の流れのままに流されて生きていく。
なぜなら、人間の力では、そのときどきの流れを変えることは難しいからです。
そのことを私は、しばしば凧揚(たこあ)げにたとえています。
「風が吹いていないときは、凧は揚がらない」
凧揚げしようとしても、その場所に風が吹いていなければ、どんなに必死になって走っても、あるいは、ものすごくよくできた高性能の凧であっても、揚がってはくれません。
一方、その場所にいい風が吹いていれば、こちらがそれほどがんばらなくても、凧はスイスイ飛んでくれます。
人生もこれと同じです。
風が吹いていないときは、何をやってもダメだし、逆に、風が吹きはじめたら、何をやってもたいていうまくいく。
だから、今は風が吹いていない時期だと思ったら、ジタバタとムダな抵抗はしないで、淡々と過ごしていく。
ただし、いつ風が吹くかは誰にもわからないので、風がいつ吹いても全力で走れるよう平素から準備をしておくことが大切です。
場合によっては、風がそのままずっと長い間吹かないこともあります。
ネアンデルタール人がが絶滅してしまったように、人生にはそういう残酷な一面もあるのです。
とはいっても、「まったく人生に希望が持てない」などと暗澹たる気持ちにはならないでください。
風が吹いていなくても、その中で人生を楽しめばいいのです。
時間はたっぷりあるので、いろいろなことができます。
逆に風が吹きはじめたら、やることがたくさん出てきてそんな暇もなくなりますから。
《「偶然」を大切にする人を運がいいと呼ぶ》
『人生の教養が身につく名言集』三笠書房
「風車、風が吹くまで昼寝かな」
という、第三十二代の首相、広田弘毅の言葉だ。
広田弘毅は外務省の欧米局長のときに後の首相、幣原(しではら)喜重郎に嫌われて人事異動でオランダ公使に飛ばされた。
オランダは風車の国。
その時、自分の心境を歌ったのがこの句。
広田弘毅は、従容(しょうよう)の人と言われる。
従容とは、どんな危急存亡の時でも、ゆったりとして慌てたり騒いだりしないことであり、泰然自若(たいぜんじじゃく)としていること。
安岡正篤師は、「人は落ちぶれたときにどう動くかで、本物かどうかわかる。やけになったり、見苦しくジタバタするのか、はたまた、従容(しょうよう)としてそれを受けいれるのか。何をしたかではなく、何をしなかったかを観る」という。
「風が吹いていないときは、凧は揚がらない」
「偶然」を大切にする人、それが「適切なときに適切な場所にいるいる人」。
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