致知出版、藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…
昔、ある人にこういう話を聞いた。
オリンポスの神々が集まり、「幸せになる秘訣をどこに隠したら、人間がそれを見つけた時にもっとも感謝するか」を話し合った。
「高い山の上がいい」「いや、深い海の底だ」「それよりも地中深く埋めるのがいい」と議論百出。
すると、一人の神が「人間の心の奥深いところに隠すのが一番だ」と言い、全員がその意見に賛成した、という話である。
幸せの秘訣は人間の心の奥深くにある。
自分の花を咲かせる秘訣は心の中にある、ということである。
だが、心の奥深く隠されているが故に、秘訣に気づかぬままに人生を終える人も少なくない。
どうすればその秘訣に気づき、自分の花を咲かせることができるのか。
まず、自らの命に目覚めること。
自分がここにいるのは両親がいたからであり、その両親にもそれぞれ両親があり、それが連綿と続いて、いま自分はここにいる。
どこかで組み合わせが変わっていたら、あるいは途絶えていたら、自分はここにはいない。
自分の命は自分のものではない。
すべては与えられたものだ。
その自覚こそ、自分の花を咲かせる土壌になる。
次に大事なのは「一つ事」を見つけること。
この一事をもって人生に立っていく。
あるいはいま携わっている仕事をもって自分の一つ事にする。
そう決意することである。
第三に大事なのは、その一つ事に本気になること。
「本気になると
世界が変わってくる
自分が変わってくる
変わってこなかったら
まだ本気になってない証拠だ。
本気な恋
本気な仕事
ああ
人間一度
こいつを
つかまんことには」
…坂村真民…
「なんでもいいからさ
本気でやってごらん
本気でやれば
たのしいから
本気でやれば
つかれないから
つかれても
つかれが
さわやかだから」
…相田みつを…
『小さな修養論』致知出版社
「汝(なんじ)自身を知れ」
デルフォイの神殿に刻まれていたといわれる有名な格言だ。
神と比べれば人間の知恵など取るに足らない、自分の無知や無力さを知ることが、すべての出発点になるとして、 ソクラテスはこの言葉を好んで使ったといわれている。
知っているようで、一番知らないのが自分のこと。
自分の力で生きているように思っているが、実は多くの力によって生かされていたことに気づかない。
そもそも、両親がいなかったらこの世に生まれることもできないし、多くの不思議なご縁によって今がある。
たとえば、ジグソーパズルのように、たった一つのかけら(ピース)が欠けただけでも、今の自分はない。
人は、メーテルリンクの童話「青い鳥」のように、幸せの青い鳥を探しに遠い旅に出る。
しかし、くたくたになって家まで帰ってくると、結局は、幸せの青い鳥は家にいた、という話だ。
それを禅語では、「明珠在掌(めいじゅたなごころにあり)」という。
大切な宝はすでにあなたの手の上にある。
どこかに探しに行かなくても自分が持っている、ということ。
だからこそ、もうすでにある、目の前の一つ事に命をかける。
どこか遠くに幸せの秘訣があるわけではないからだ。
そして、それを本気でやる。
オリンポスの神々が隠したという「幸せの秘訣」を見つけ出したい。
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