トランスフォーメショナル・コーチ、梯谷幸司氏の心に響く言葉より…
私たちはそれぞれ、「生きる目的」を持って生まれてきます。
つまり、今回の人生においてなしとげる「何か」を、各自が担っているのです。
その何かとは、「人々や世の中に貢献すること」かもしれませんし。
「人々を愛すること」かもしれません。
「これまでにない『価値』を創造すること」かもしれません。
そして私たちは、こうした自分自身の生きる目的につながる活動をしているとき、幸せを感じます。
本当の自分として生きていることに、充実感を覚えるのです。
ところが、現実の社会では、そうした生き方をするのが難しい場合が少なくありません。
社会生活を送る以上、私たちはある程度、社会のルールに従って生きていくことが求められます。
社会からの要請に応え、社会から望まれる形で生きていくことで、「社会的自分」がつくられていきます。
そして、その社会的自分と、自分の生きる目的が合致しないケースが多々見られます。
たとえば、「俳優になりたい」「小説家になりたい」という夢があっても、まわりの大人たちから「夢だけで食べていけると思っているのか。安定した会社に就職しろ」と言われて反対されるのは、わかりやすい事例でしょう。
人は誰しも、「生きる目的」に向かって生きていきたい欲求があるのは、前述した通りです。
そのため、社会的自分と本当の自分との間に葛藤が生まれます。
「社会からの期待に応えられる自分でなくてはならない」と懸命に思う人がいる一方で、ごくまれに社会からの期待をどこ吹く風で受け流し、本当の自分を貫く人もいます。
しかし大多数の人は、社会的自分によって本当の自分を徹底的に抑えつけます。
「そんなことをしたら、怒られる」「それだけの能力はないから、あきらめよう」「そんな進路では、まともに生活できない」…などなど。
社会的な自分が、さまざまな思い込みやセルフイメージをつくることで、本当の自分が生きる目的に向かって生きていくことを阻止しているのです。
とことん抑えつけられれば、抵抗や反乱が生じるのは、古今東西の歴史が証明しています。
社会情勢と同じことが、人間の体の中でも起こります。
それが「病気」です。
社会的自分によって、自分の中の奥深くに封じ込められた本当の自分が「「このまま生きる目的に向かって生きることが許されないなら、元気でいても意味がない」と、さまざまな病気をつくり出していくのです。
これは、見方を変えれば、本当の自分からのメッセージともいえます。
つまり、今の自分が生きる目的とズレた生き方をしていることを、本当の自分が病気という形を使って、教えてくれているのです。
『本当の自分に出会えば、病気は消えていく』三笠書房
梯谷氏は、病気を「敵」だと思っているうちは、病気はやめられない、という(本書より)。
『同じような病気にかかっても、それを確実にやめられる人と、なかなかやめらないどころか、悪化させてしまう人がいます。
私はかれこれ30年近くコーチングやカウンセリングなどを通じて、病気をやめる手伝いをしてきましたが、最近わかったのは、両者を分ける一つの大きな違いとは、病気を「敵」と見なしているかどうかだということです。
病気をやめられる人たちは、病気を敵と見なしていません。
もちろん、私とのセッションがスタートした時点では、多くの人が病気を敵と見なしています。
ただ、病気をやめられる人たちは、セッションをつづけるうちに、病気が本当の自分からの「あなたは今、本来の『生きる目的』とズレた生き方をしているよ」というメッセージだと気づいていくのです。
そして病気と向き合い、本当の自分と話し合いを始めます。
本当の自分に対して「これまで無視しつづけてごめんね」と謝罪し、和解していくのです。
この段階に至るとほとんどのクライアントは、「社会的自分」に縛られることをやめ、本来の「生きる目的」に向かって生きはじめます。
すると、気がついたら病気をやめられているのです。
では、病気を敵だと見なしつづけると、なぜ病気をやめられないのでしょうか。
敵ということは、闘う相手だということです。
そのため、敵である病気を倒し、根絶するための治療を選ぶ傾向があります。
たとえば、薬を大量に服用したり、がんであれば放射線治療を選んだり、手術で切除したり、という具合です。
あらゆる手段を使って、病気のもとを自分の中から消したり、切り離したりすることに懸命になります。
しかしこれは、本当の自分を無視したまま対症療法的な処置をしているだけで、根本的な解決にはなりません。
そもそも病気は、封印されつづけた本当の自分が発する、「存在に気づいて!そして、本当の自分として生きて!」というメッセージです。
そのメッセージを無視していては、いくら表面的な治療を施したところで病気を根本的に消すことは難しいのです。
そのため、なかなか治らなかったり、あるいはいったん治ってもすぐに再発してしまうのです。
草むしりで雑草を刈ったところで、根が残っていれば再び生えてくるのと同じですね。
病気が悪化してしまうのは、自らの存在をあくまでも無視しつづけようとする今の自分に対して、本当の自分が「それなら、もっときつい状況にして気づいてもらおう」という働きをするからとも考えられます』
この病気を会社の経営と考えてみるとよくわかる。
会社の業績が悪くなってきたとき、そのメッセージに耳を傾けず、今までと同じことをしていたら、会社はどんどん倒産の方向に向かう。
つまり、自社の、大切な価値観や、経営理念、行動指針やミッション、などを忘れていないか。
それらを忘れて、逆に、無理な売上げ拡大をはかったり、ギャンブルのような投資に手をだしたり…。
それらを、軌道修正しなければ、どんどん業績は悪化し、ついには会社は存続できなくなる。
「病気はメッセージ」
病気を敵と見なさず、自分の行動を改め、本来の方向に向かって進みたい。
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