第68代内閣総理大臣、大平正芳氏の心に響く言葉より…
大平総理の誕生以前、総理候補として、山口淑子さんがインタビューした記事が残っている。
そのなかで、自身の考え方について、こう述べている。
「考え方としては、"現在を大切にしよう"ということですね。
永遠の現在というか、エターナル・ナウというのか。
つまり青い鳥が山の彼方におるなんていうのは幻想だと思うんですよ。
青い鳥はここにおる。
いい政治はここにある、今ある。
今以外は、われわれの世界にはないんだから、今日一日を大切にする。
アンドレ・モーロアの晩年の随筆に『あなたの天国』というものがあるけど、その中でモーロアは、
『自分が天国へチケットを持って入ったら、何をするだろうか。やっぱり自分は妻に会いたい、子どもに会いたい、友達に会いたい。話をしたい、原稿が書きたい。そう考えてみると、全部、現在自分がやっていることじゃないか。今やっていることが天国であり、今が天国だ』
こういうことなんですよ」
『君に100の成功を贈る』経済界
禅では、「今ここ」という。
英語では「Here and Now(ヒヤ&ナウ)」だ。
中村天風師はそれを、「さしあたる事柄のみをただ思え、過去は及ばず、未来は知られず」と言った。
過ぎ去った過去を悔んでも変えられないし、未来のことを憂いたり心配しても誰も先のことはわからない。
即今という、今ここしかないのだから、と。
多くの人は、どこかに青い鳥がいるだろうと、探し回ってしまう。
そして、一攫(いっかく)千金を狙ったり、努力せずして運をつかむような僥倖(ぎょうこう)を望む。
今の人間関係の中に、今の仕事の中に、そして今の生活の中に、幸せが隠れているのに気づかない。
「青い鳥はここにおる」という言葉をかみしめたい。
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