心理学者、渋谷昌三氏の心に響く言葉より…
赤の他人をほめるのは簡単です。
難しいのは、身近にいる人をほめることでしょう。
長年連れ添ってきたご亭主に、「今日のあなた、かっこいい!」などと歓声を上げる奥さんはなかなかいません。
よその家の子供はほめても、自分の子供はなかなかほめられません。
「いいお子さんじゃありませんか。活発で、賢そうだ」とよその家の子供は手放しでほめるのに、わが子には、つい「まったく、おまえはいつもぼんやりしているなあ。将来のことをちゃんと考えているのか、おい」と、嫌味が出てしまいます。
「たまにはほめてやらねば」と思っても、実際のわが子の顔を見ると、ほめ言葉は引っ込んで文句が先にでてきます。
このようなケースでは、「陰(かげ)ぼめ」という方法があります。
「陰口」ではありません。
相手のいないところで悪口をいうのではなく、ほめるのです。
面と向かって夫をほめるのが気恥ずかしいのであれば、奥さん同士が集まるところで、「私の亭主ね。ああ見えて、いい男なのよ」と、陰でほめておきます。
わが子は、会社の同僚や、友人や近所の人、とにかく会う人会う人に、「あまたはそれほどじゃないけど、素直でいい子なんだ、あれが」と、ほめておきます。
その噂は巡り巡って必ず当人に届きます。
大事な手紙が転居先へ転送されるようなものです。
「あなたの奥さん、あなたのことをほめてましたよ。いいご夫婦ねえ」
「お父さんが、君のことほめていたぞ」
そんな話が必ず当人の耳に入るときがやってきます。
心理学には、直接ほめられるよりも、第三者を通してほめられるほうが「真実味」を感じ、その人にとってはより嬉しく感じられる…とする報告もあります。
これは会社でも使えます。
当人のいないところでほめる…なにかバカらしい感じがするかもしれませんが、ぜひ実践してみてください。
当人の耳に届くまで少々時間がかかりますが、高い効果を見込めます。
どんな人間関係でも活用できるのが、この「陰ぼめ」です。
大いに活用してもらいたいものです。
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「陰ぼめ」がまわり回って必ず本人に伝わるということは、「陰口」も同様にまわりまわって本人に伝わる。
飲んでいる席で、つい誰かの悪口を言ったところ、それが本人に伝わってしまう、というのはよくある話だ。
これは、SNSの投稿でも同じだ。
たとえば、昨今問題になっている「バイト炎上動画」問題も、本人はほんの軽い気持ちで友だちに向かって出したつもりであっても、それがまたたくまに世間一般に広がってしまう。
見えないところで行う徳積みを、陰徳という。
「天の蔵に徳を積む」とも言う。
徳には、「陽徳」と「陰徳」がある。
陽徳とは、人を喜ばせたり、他人から感謝されることをすること。
陰徳とは、人知れず善きことをすること。
まさに、陰ぼめは、陰徳を積む身近な方法だ。
陰口はやめて、陰ぼめに徹したい。
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押忍
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