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感謝報恩
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宇宙は百億くらいある。
その百億の宇宙の一つがわが地球の属する
銀河系宇宙だということは以前、この欄で書いた。
銀河系宇宙の大きさはほぼ分かっている。
楕円形で、光の速度で直径が十万年、
厚さが一番厚いところで一万五千年かかる距離だという。
あまりのスケールに言葉もない。
その宇宙の中で地球だけに生命が宿されている。
宇宙から見た地球はものすごく美しいと
宇宙飛行士たちは口を揃える。
地球に住む生命体が発するオーラが、
地球を美しく輝かせているのに違いない。
その地球に住む生命体に宇宙は等しく天敵を与えた。
天敵がいなければあらゆる生命は増長し、
蔓延、跋扈する。
それは調和を愛する宇宙の心に反するということだろう。
ただ、限りない生命体の中で人間にだけ天敵がいない。
なぜか。
長い間の疑問だったが、ある時思い至った。
人間の天敵は外ではなく、心の中にいるのだ、と。
人間を襲い、蝕む天敵。
それは心の中に巣くう不平不満である。
事あるごとに湧き起こってくる
不平、不満、愚痴こそ、人間を滅ぼす天敵である。
歌人の生方たつゑの母は、少女の頃、
ともすれば不満顔をするたつゑに、
「不満を持つ間は、人は幸せからはじき返されますのや」
とよく言ったという。
人生を知り尽くした人の英知の言葉であろう。
人間を損なう天敵の対極にあるもの、
それが感謝である。
心が感謝の思いに満ちあふれた時、
あらゆる不平不満は一気に消え去る。
感謝こそ人間という生命体を
健やかに成長させる根幹である。
話は飛ぶ。
昨年、東京で開かれた「人体の不思議展」を見た時、
人間の生命に畏怖に近い感動を覚えた。
殊に全身に行き渡った血管網と神経細胞の標本は、
人知をはるかに超えていた。
身体の隅々に至るまで、微妙かつ精巧に、
そして見事な調和の中に、一点のねじれも
もつれもなく配列されたそのさまは、
神の領域そのものだった。
しかもその一本一本がそれぞれの役割を与えられ、
その役割を果たして全体に帰依している。
全知全能の神でなければ創造し得ない世界がそこにあった。
人間はすでに奇蹟のような生命をいただいて生きている。
「生きて」いるのではなく、
限りない恩の中に「生かされて」いる。
理屈なしに、そう直感するしかない世界が、そこにあった。
「恩」という字は
「口」と「大」と「心」から成っている。
「口」は環境、「大」は
人が手足を伸ばしている姿である。
何のおかげでこのように手足を伸ばしておられるのか、
と思う心が"恩を知る"ということである。
安岡正篤師の言がある。
「我々は天地の恩、人間の恩、道の恩、教えの恩など、
あらゆる"恩"の中にあります。
これに絶えず報いていくのが生活であります」
感謝報恩の人生を歩みたいものである。
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