プロフィール

2018年11月26日月曜日

衣食住

粗食と粗衣を心掛けよ
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■林子平の教訓

子供を育てる上では、甘やかしたり、
必要以上に褒めそやして、
玉のごとく大事にしすぎることがないようにせよ。

幼少より気持をしっかりさせることを教え、
些細なことも義理と恥とをもとに判断し
行動する心懸けを持つようにさせるとよい。

そのためにも、食べ物は質素にして、
衣類は薄着にするように。

こうしたことこそ、
実は日常のあらゆる行いの助けとなるのだ。

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■解説

「子供は風の子」という言葉があります。

私が子供の頃には、しょっちゅう耳にする言葉で、
その意味するところも、多少寒くても
子供には薄着をさせよということは
誰もが知っていました。

そして実際に真冬でも子供に
薄着をさせる親はずいぶんいたものです。

また、食べ物のことをあれこれ言わないことも、
ごく一般的に教えられていました。

こうしたことを通して、
少しずつ我慢強い心を育んだのでしょう。

「気持をしっかりさせること」
「些細なことも義理と恥とをもとに判断し行動する」、
これは大人でも場合によっては難しいことですし、
ある日突然、このようなことができるように
なるわけでもありません。

だからこそ、幼い頃から少しくらい寒くても
辛抱したり、お腹が空いても平気な顔をする
といったことで、少しずつ身につけていく必要が
あるのです。

やせ我慢というのは、武士の美徳を表した
言葉であるとさえ私は思っています。

私的感情を表情や態度に表したり、
ましてや言葉にすることは恥ずかしいことだと
されてきたのは、やせ我慢という美徳を
植えつけるためでもありました。

何やらスパルタ的に感じられるかもしれませんが、
このようなことを身につけると、
ストレスに対する耐性が備わるため、
結果的に非常に楽になるのです。

これは姿勢ひとつとっても言えることです。
大人になってから正しい姿勢を
身につけようとすると多くの人が
疲れを感じるようですが、子供の時に身につけてしまうと、
背筋を伸ばしている状態がかえって
最も楽な姿勢になり、どうということもなくなります。

また、質素にすることにより、
真の豊かさとは何かということを知る
きっかけにもなるのではないでしょうか。

金銭や贅沢な物品などに豊かさを
追い求めるようになると、
えてして際限が無くなります。

大金や高価な物を手にしたときの興奮や昂揚を
豊かさや贅沢と勘違いしてしまうからでしょう。

一方で、心を満たす豊かさには感動や感謝が伴います。
それは想い出として心に残ります。

そして、ふいに想い出すたびに、
ひたひたと幸せが蘇るのです。

真の豊かさを知ることになれば、
自然と物欲からも遠ざかっていけるはずです。
日常的に子供に忍耐させることは、
子供を幸福体質にさせることでもあるのでしょう。


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古くて新しい"父親のための教科書"

『武士の子育て』(石川真理子・著)


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押忍

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