小林正観さんの心に響く言葉より…
ある講演会の後に、60代の女性が私のところに相談にきました。
「息子が離婚をしたいと言うのです。私は、離婚に反対をしました。ですが、息子はどうしても離婚をすると聞きません。私は離婚した息子を愛する自信がありません」
はたして誰が「離婚をするのはよくない」と決めたのでしょうか。
私は離婚をきっかけに幸せになった人をたくさん知っていますが、離婚を機に不幸になった人はほとんどいません。
ですから、私は「絶対に離婚してはだめだ」とは言いません。
さらにいうと、「自分の思いどおりになったら息子を愛してあげるけど、自分の思いどおりにならなかったら愛してあげたくない」というのを「愛している」とは言いません。
その状態を「愛していない」と言います。
一見、息子のことを慮(おもんぱか)っているようですが、「自分の価値観に染まるかどうか」「自分の思いどおりになっているかどうか」を、「愛する基準」に置いている。
実は息子のことなど何も考えていないのです。
息子がもっと心地よい選択として離婚を選んだのであれば、「離婚してよかったね」と声をかけてあげるのが、本当の愛情ではないでしょうか。
この女性の問題点はふたつ。
ひとつは、「自分の思いに反したことをする人を問題だ、悩みだ」と言っていること。
もうひとつは、「自分の思いどおりにならない人を愛せない」こと。
つまり、自分のことしか考えていないこと。
そのことを伝えると、彼女は「そういうことだったんですね」と理解をし、問題が解消したようでした。
何か大きな解決策を講じる必要などまったくなく、自分の思いを変えるだけ。
自分のこだわりや執着によって、勝手に思い込んでいる価値観を変えただけで悩みは消えてなくなったのです。
《「愛する」とは「応援する」こと》
『ごえんの法則』大和書房
とかく、多くの親は、自分の子どもを思いどおりにしたがる。
そして、思いどおりにならなければ、怒ったり、あげくの果てには暴力を振るったりする。
強圧的で専制的な親のもとでは、一見すると従順な子どもができるが、その不満や我慢は何らかの形でいつか爆発する。
これは自分の子どもに限らず、対人関係でも同じことが言える。
相手を変えようとしてしまうのだ。
人の言動や行動にイライラしたり、腹が立ったりしてしまう。
「なぜ、そんなことを言うのだろう」「どうしてこんなことをするんだろう」と。
自分の思いどおりにならない人にストレスがたまる。
自分の価値観を押し付けようとしているからだ。
それが、自分のことしか考えていない状態。
「愛する」とは「応援する」こと、という言葉を心に刻みたい。
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押忍
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