プロフィール

2016年7月9日土曜日

人の道

運を強くするために、
一番大切なこととは何か。

そのヒントを、10兆円企業を目指して
躍進を続ける、大和ハウス工業の
トップ・樋口武男さんから学びます。

───────────────────

樋口 武男(大和ハウス工業会長兼CEO)

※『致知』2011年4月号
※特集「先師先哲に学ぶ」P12より

───────────────────

福岡時代には忘れられない
お客様がいます。

工学博士の小田さんという方です。

現役の頃は土木工学の
権威だったそうですが、
リタイア後は先祖の残した山を開発して、
600区画もの宅地を持っていました。

それを我が社にも売らせてくださいと
飛び込みで訪ねていきましたが、
この小田さんは地元では
「変人」と呼ばれて、
人を家に上げたことがない。

他社も数社訪れたそうですが、
全部門前払いされたといいます。

当然私も最初はそうでしたが、
通いに通いつめてようやく
玄関先で話せるようになり、
さらにはある日、


「きょうはどうぞお上がりください。
 私は何万人もの人に会ってきたが、
 あなたのような人は初めてだ」


と、どこをどう気に入られたのか
分かりませんが、
部屋に上げてもらいました。

そうして仕事をいただいて、
息子のように可愛がってくださる
ようになった頃、小田さんは、


「私の資産は20、30億円あるでしょう。
 それを全部あなたに託してもいいから、
 独立して会社を起こしたらどうですか」


と言われたんです。

当時の20、30億円といったらおそらく
いまの100億円くらいあるでしょう。

もともと私は自分の会社を
持ちたいという思いで社会に
出ていますから、喉から手が出るほど
ありがたいお話でした。

しかし、25歳で入社して36歳で
支店長にしていただき、
こうして福岡の支店長を
させていただいているのも
自分一人の力ではないという思いもある。

私は「一晩考えさせてください」
と言って、その場を後にしました。


よくよく考えてみても、
会社が自分を必要として
くれていることは分かっていました。

世話になった会社に後ろ足で
砂をかけるようなことをしては
人の道に外れるのではないか
と思いまして、翌日、


「大変ありがたいお話ですが、
 これからも先生とは
 "大和ハウスの樋口"として
 お付き合いさせてください」


と、お返事しました。

こういう方との出会いがあるのも
私の運の強さだと思います。

小田さんが亡くなられてからも
13回忌までずっと出させて
いただきましたが、そのくらいになると
集まるのは5、6人になるんですね。

オーナーも事あるごとに


「樋口君も運のいい人と付き合え。
 運の悪いやつと付き合うと
 運を取られるぞ」


と言っていましたが、
要は人の道を守らない人間に
運なんてついてこないですよ。

それと、親を大切にしない
人間が他人様を大事にできる
わけがないですよね。

親を大切にするというのは
恩ある人を大切にするということです。

だから、世話になった人に
後ろ足で砂をかけて逃げる
ようなことは絶対にしてはいけない。


運を強くするには人の道を
ちゃんと守ることが
一番大切だと思います。

要するに人として
当たり前のことを当たり前にする、
凡事徹底ということです。



致知出版社様メルマガよりシェアさせて頂きました。



押忍!

0 件のコメント:

コメントを投稿