★ 力尽きるまで ★
佐藤 愛子(作家)
※『致知』2016年8月号【最新号】
※連載「生涯現役」P98
───────────────────
本当は90歳で『晩鐘』を
書き終えた後は、
もう執筆生活をやめようと
思っていましたら、
一時期鬱病みたいになりましてね。
それまでは朝目が覚めると、
その日に書くものの
構成を考えたりしながら、
「いざやるぞ!」ってパッと
起きて一日が始まっていました。
ところがそれがなくなってしまって、
目が覚めても別にすることがないから
もう少し寝ていようとか
ズルズルしているうちに、
だんだん気持ちが鬱屈して、
元気がなくなってしまいました。
最初は原因がよく分からないから、
年のせいだろうと思っていたんですよ。
そうしたらある日、
ある週刊誌の編集者が来て
エッセイを連載してくれないか
という話になってね。
断るつもりでいたんですけど、
とても熱心だったので引き受けたところ、
翌朝起きるともう頭の中では
何を書こうかと考えていて、
いつの間にか元気になった(笑)。
──ではもう書き続ける
しかありませんね(笑)。
私はね、書くことだけが
生きることだったわけですから、
だからそれをやめた途端
鬱病になっちゃったんですよ。
よく定年退職した男性が
鬱病になりますでしょう。
あの気持ちはよく分かります。
芯がなくなるんですよね。
だから死ぬまで何か仕事を
していないとダメだということを
実感したので、いまは力尽きるまで
仕事をしたいと思っています。
致知出版社様メルマガよりシェアさせて頂きました。
佐藤 愛子(作家)
※『致知』2016年8月号【最新号】
※連載「生涯現役」P98
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本当は90歳で『晩鐘』を
書き終えた後は、
もう執筆生活をやめようと
思っていましたら、
一時期鬱病みたいになりましてね。
それまでは朝目が覚めると、
その日に書くものの
構成を考えたりしながら、
「いざやるぞ!」ってパッと
起きて一日が始まっていました。
ところがそれがなくなってしまって、
目が覚めても別にすることがないから
もう少し寝ていようとか
ズルズルしているうちに、
だんだん気持ちが鬱屈して、
元気がなくなってしまいました。
最初は原因がよく分からないから、
年のせいだろうと思っていたんですよ。
そうしたらある日、
ある週刊誌の編集者が来て
エッセイを連載してくれないか
という話になってね。
断るつもりでいたんですけど、
とても熱心だったので引き受けたところ、
翌朝起きるともう頭の中では
何を書こうかと考えていて、
いつの間にか元気になった(笑)。
──ではもう書き続ける
しかありませんね(笑)。
私はね、書くことだけが
生きることだったわけですから、
だからそれをやめた途端
鬱病になっちゃったんですよ。
よく定年退職した男性が
鬱病になりますでしょう。
あの気持ちはよく分かります。
芯がなくなるんですよね。
だから死ぬまで何か仕事を
していないとダメだということを
実感したので、いまは力尽きるまで
仕事をしたいと思っています。
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押忍!
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