100円ショップの先駆けにして、
業界トップの規模を誇る「ザ・ダイソー」。
100円という驚きの価格設定から、
いずれはつぶれるだろうと囁かれながらも、
今日も隆盛を極めています。
その秘訣を、創業者の矢野博丈さんは
「運」だとおっしゃっていますが、
そこには独自の考え方がおありのようです。
致知出版社の人間力メルマガ 2019.1.21
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鈴木 敏文(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)
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矢野 博丈(大創産業会長)
※『致知』2019年2月号【最新号】
※特集「気韻生動」P10
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【鈴木】
だけど、売値が100円って決まっているにも拘らず、
原価は上がっていく一方でしょう。その中でよくやってきたなぁと。
【矢野】
おっしゃる通り、原価はどんどん上がっていくんですよね。
当時から、いずれ原価が100円を超えて
潰れるという確信を持っていました。
第二次石油ショックの時に原価が一気に上がって、
同業の仲間は皆、辞めたんですよ。
「ダイソーも近いうちに潰れるぞ」ってよく言われていました。
で、とても100円じゃやっていけなくなって、ある日、
120円均一に値上げしたことがあるんです。
ところが、3つくらいしか売れなくて、
もう昼から100円に戻しましたけどね(笑)。
【鈴木】
その状況をどう乗り切っていったの?
【矢野】
結局は、運です。中国というものすごく
低コストの工場地帯ができましたから。
しかも、早過ぎもせず遅過ぎもせず、ちょうどいい時機に。
【鈴木】
なるほど。いくら努力をしても、やっぱり何事も
運が向かなかったらどうにもならないからね。
【矢野】
僕が毎年、新入社員に言うのは「人生は運だ」と。
で、運というのは半分は持って生まれてくるけれども、
あとの半分は自分でつくるものだと。
だから、学校の勉強はいまからせんでもいいけど、
人に好かれるにはどうしたらいいかとか、
人を喜ばせるにはどうしたらいいか、
そういう心の勉強はしないといけんよと言うんです。
【鈴木】
心に響く話です。
【矢野】
僕自身、二十代の頃は運命の女神を憎み続けていましたが、
ある結婚式に参列した時に、
京都のお坊さんがこんな話をしていたんです。
「仏縁に導かれたお二人だから、
きっといい夫婦になられるでしょう。
けれども、好むと好まざるとに拘らず、
これからお二人には艱難辛苦が押し寄せてきます。
それを乗り越えたら、きっといい人生が送れるでしょう。
人生にはいろんなことが起こりますけど、
無駄は一つもありませんよ」と。
その言葉を聞いた時は、「何を言うんだ。俺の人生、
無駄しかないじゃないか」と思って腹が立ったんですけど、
ふと考えてみると、仏さんがこいつは見どころがあると思って、
人の何倍も艱難辛苦を与えてくれたんじゃないか。
運が悪いと思い続けてきたけど、
もしかすると運がいいんじゃないか。
そう思うようになってから、少しずつ心のモヤモヤが晴れて、
いいことが起きるようになりました。
致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。
押忍
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