ガリバーインターナショナル(現・IDOM)を創業した
羽鳥兼市さんですが、若い頃は苦労の連続でした。
多額の借金を返済しておな、厳しい税金の
取り立てにあって、やりきれない気持ちでいた
羽鳥さんを救ってくれたのは、真摯に
祈りを捧げてくれたお坊さんの後ろ姿でした。
致知出版社の人間力メルマガ 2019.1.15
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羽鳥 兼市(IDOM名誉会長)
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村上 和雄(筑波大学名誉教授)
※『致知』2017年3月号
※連載「生命のメッセージ」P114
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【村上】
羽鳥さんはお母様の影響も強く受けられていますね。
【羽鳥】
実はおふくろに助けられたことがあって、
倒産で背負った借金3億円を3年間で
全部払い終わった半年後のことでした。
突然、国税局が入り込んでくると、根掘り葉掘り聞かれた上に、
数億円の税金を取り立てると言ってきたんですよ。
(中略)
もう毎日のように、これはどうなった、この帳簿を
見せろとか言われても、こっちは納得できないじゃないですか。
やっとの思いで義兄の借金を全部払い終わってほっとしていたのに、
何でまた税金を何億円も払わなくちゃならないんだって。
そう思うとイライラして、彼らの言うことに逆らってばかりいたんです。
やっぱりそういう感情って、顔に出るんですね。
ある晩、おふくろが車に乗せてほしいと言うので、
言われるままに運転すると、着いたのは
30キロくらい先にある山中のお寺さんでした。
既に11時近くだったと思うのですが、おふくろがお坊さんを起こして、
「最近、息子がイラついて、おかしな状態に
なっているようだから祈祷してください」とお願いするんですよ。
【村上】
真夜中の祈祷ですか。
【羽鳥】
ええ。自分も訳が分からなかったのですが、
しようがないので黙って本堂について行くと、
すぐに護摩焚きが始まってお坊さんが拝み始めました。
おそらく1時間以上続いたと思うのですが、
とにかく手を抜かないで一所懸命拝んでくれる。
そんなお坊さんの後ろ姿を見ているうちに、
この方は何が楽しみなんだろうか、
そもそも人の幸せって何だろうかって、ずっと考えていました。
そうしたら、ふと、お金がすべてじゃないんだと気がついた。
それよりも、人に喜んでもらうために一所懸命やる。
それが生き甲斐になるんだって。
一方、自分はというと借金を払った上に税金まで
取られるのが嫌だから、何でもかんでも逆らってばかりでした。
でも、もういっそのこと徴収されるだけ徴収されるのも、
面白いじゃないかと。また何億円払えと言われたって、
返すのをゲームのように捉えて、一日でも早く
完済していくのも楽しいかもしれない、ということに気づきました。
【村上】
開き直ったわけですね。
【羽鳥】
ですから次の日に国税局の方が来た時に、
開口一番「何でも言ってください。
何億円でも何十億でも言われるだけ払いますから」と言った。
「もう覚悟を決めました」って。そうしたら、その日の午後2時頃に、
「状況は分かっていた。でもあまりに逆らうから
徹底的にやろうと思っていたけど、きょうで終わります。
あんたが心を開いてくれたんで、もういいですよ」と言って、
数億円かかるところを最終的には
1,000万円ちょっとくらいで解決してくれたんです。
こちらが心を開いていないと戦争になる。
でも開くと、サッと解決する。
そう気づかせてくれたのがおふくろであり、お坊さんの後ろ姿でした。
【『致知』キーワード】
・こちらが心を開いていないと戦争になる。
でも開くと、サッと解決する。
致知出版社様メルマガよりシェアさせていただきました。
押忍
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