プロフィール

2019年1月16日水曜日

天地人

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天の道、地の理、人の紀
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「天の道を変ずることなく。
 地の理を絶つことなく。
 人の紀を乱すこと無かれ」
 

天道・地理・人紀、
これは人間生活、
人間文化の三原則であります。

天にも道がある。
天をして天たらしめるものがある。
これがなければ天が天でなくなる。

これあるによって天が存在し、存続しておる。
天にはそういう本質的なものがある。
それが道である。

この天道を変えてはいかぬ。
変えると人が滅びる、破綻する。

と同じように、地には地の筋道がある。
これを理と言う。

理は玉にあるところの筋でありまして、
これあるによって地が成り立っておる、
これがなければ地は存在しない、というものを
人間の知で考察して理と言う。

これを結んで道理と言う。
天道が現われて地理となっておる。


また人間にも、これが無くんば人間が存在し、
生活することができないという筋道がある。
これが道理に対する人紀であります。
紀は法、法則という意味です。

だから、この三原則を失えば
人間生活・人間文化は成り立たないわけで、
この頃の科学はこれを解明しておると申してよろしい。

これもしばしばお話いたしましたが、
文明が発達して世界は一つになり、
地理の差別がなくなった。
熱帯も寒帯も温帯もなくなってしまった。

そのために、われわれは坐して
西洋のものも東洋のものも、
熱帯のものも寒帯のものも、
玩味することができる。

しかし、それだからと言って、
われわれがほしいままに
他国・他帯のものを食っておったらどうなるか。
これは、とんでもない人間生理の破壊になる、
ということがだんだん判明した。

やはり熱帯には熱帯の特徴があり、
寒帯には寒帯の特徴があるわけで、
人間はなるべく生を享けたところの、
大きくなってからでもいつも住みなれた地域の、
季節の物をその季節に飲み食いするのが一番真実である、
ということがはっきりしてきた。

これが、いわゆる天道です。

あまり珍しいところのものを、
季節を無視して摂取するとどうなるか。
考えてみると恐ろしいことであります。


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『安岡正篤活学選集』(全10巻)

       安岡正篤・著

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押忍

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